ようこそ、Taurus🐂の橋梁点検ノートへ!!
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<これまで私が蓄積してきた知識や経験を書き留めたノートの公開>です。
それでは、今日の公開ノートはこちら↓
※織田信長:日本の戦国大名。天下統一を目指した武将。
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目次
【損傷種類④:破断】
今日のノートは「破断(はだん)」です。点検要領には下記のように記載されています。
上から3行目の ”鋼部材が完全に…” の説明を読んで『はだん?まったくわからん(・・?』ということはないと思います。
点検要領の説明では “完全に破断しているか、破断とみなせる程度に断裂しているか”
言い換えると、”材料が2つ以上に離れてしまうこと”です。
下図のような損傷があれば、④破断の記録が必要となります。
この例を踏まえ、今日のノートで最大のポイントとなるのは、
「点検要領に記載されている通りに記録できているか?」です。
『破断しているんだから、破断と記録していれば問題でしょ?』
たしかにその通り。
ただ、この例を点検要領の通りに記録すると下図のようになります。
④破断はもちろんですが、そのほかにも①腐食の記録が必要です。
また場合によっては、破断まで至っていない②亀裂や㉓変形・欠損も記録する必要があります。
ここで重要だったのは、
一番初めの図にある7行目からの “断裂部以外にも亀裂や腐食が生じている場合にはそれぞれの損傷としても扱う”の部分です。
ところどころで、“・・・として(も)扱う”という文言が点検要領ではでてきます。すべての損傷状態を記録することが点検要領では求められているのですね。
これは点検要領によくある言い回しで、解釈・理解するうえでの最大のポイントになります。
なぜなら、この点検要領は読み手(わたしたち実務者)の判断に委ねているところがあるからです。
技術力不足と言われてしまいそうですが、具体的に示されていないことがあると点検員さんで評価のばらつきが生じてしまうので、ある程度図解もほしいなと思うことが時々あります。
ただ、H26、H31年度の改訂では回を重ねる度に図解説明が増えてきていますので、改訂作業にあたる皆さまも私たち実務者のことを考えてくれているんだと。
それはそうなんですが、まだ高度だな~(;^_^A
【健全度評価との関連】
最後にもう1つ。
これは健全度の評価にも関わる大事なことです。
さきほどの図の最後の行に“支承も対象とし、この場合は「支承の機能障害」としても扱う”とありますのよね?
これについても今までの説明と同様です。
例えば、支承のローラーが破断し、支承の機能が損なわれている状態であったとします。
その場合、④破断だけではなく、⑯支承の機能障害についても扱う必要があるのです。
つまり、橋梁点検員さんが現場で支承の機能についても評価したうえで記録するということです。
国の点検要領では、損傷を記録する点検とその損傷を評価する診断のすみ分けがされているものの、この⑯支承の機能障害のように評価まで行うこともあるのです。
ちなみに、ここで注意しなければならないのは、④破断と一緒に記録する⑯支承の機能障害は、あくまでもその支承に生じている破断が⑯支承の機能障害(健全度Ⅲ以上)と評価できるものという点です。
逆に、支承機能に障害がないものは、仮に脱落や破断していても記録しなくてもよいとなります。
点検要領の⑯支承の機能障害の説明にも、“一部又はその全ての機能が損なわれている状態”とあり、この解釈と整合性がとれます。
【ノートのまとめ】
・損傷箇所1つにつき、評価する損傷種類は1つ限らない。
・損傷種類によっては、記録と同時に健全度評価(と同等)もしている。
【次回のノート】
次回のノートは「⑤防食機能の劣化」です!
①腐食では触れられなかった耐候性鋼材での記録の仕方があやふやという方におススメの内容になるかもしれません。
では次の週末更新で!
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