ようこそ! Taurus🐂の橋梁点検ノートへ。
このブログが橋梁メンテナンスに携わる皆さまのお力になれたら嬉しいです!
ではさっそく!
※マイケル・ジョーダン:NBAで大活躍した元バスケットボール選手。 バスケットボール の神様。
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目次
【点検要領の解釈:⑭路面の凹凸】
わたしたちの住む日本の道路はとても整備され、平坦でキレイです。
よく
「日本の高速道路は諸外国と比べて料金が高い!」
「早く無料化するべき!」
なんてことを耳にしますが、
・地震が多く、頑丈につくならないといけない。
・毎日パトロール車が巡回し、常に道路を補修している。
・サービスエリアには、コンビニやトイレが充実。
などなど。
ここまでサービスが充実しているのはあまりないそうです。
トイレに行く時はその度に、高速道路から降りる必要があるとか・・・
きれい好きで、堅実で慎重な日本人の性格が道路整備にもでているのかもしれませんね。
誇らしい事実ではありますが、
それが当たりまえであるため、少しの凹凸でも事故に至ってしまうケースも少なからず発生しています。
近年では橋梁を含めたインフラの老朽化が懸念される報道が多くなってきました。
道路というのは、そのエリアを常に補修し続けている年間維持業者の方がいるのですが、なにせ範囲が広いのでどうしてもタイムラグが生じてしまいます。
時間が足りません( ゚Д゚)
路面の凹凸をすべて排除することは現実的に難しいとは思いますが、私たちメンテナンス技術者は、今まで以上に利用者の立場にたった安全を考え、確保する必要があります。
なので、
今回の橋梁点検ノートでは、いつもの要領の解説と併せて、第三者被害防止をふまえた点検のポイントについて書いていきたいと思います!
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<点検要領の付録-1>
⑭路面の凹凸については、点検要領の付録-1では下図のように解説されています。
今日の要領解釈編でのポイントは、上図の赤線と青線の2つだけです。
とてもシンプルです。
では、まず1つ目。
◆ ポイント その1
赤線:衝撃力を増加させる要因となる路面に生じる橋軸方向の凹凸や段差をいう。
凹凸と段差のことです。
⑭路面の凹凸という損傷名称ですが、“凹凸”だけではなく“段差”も含まれています。
では具体的にどんな損傷かというと、
・凹凸(凹)~車道や歩道の舗装路面に生じている穴
・凹凸(凹)~伸縮装置前後の舗装路面で生じている穴
・段差~伸縮装置フェースプレートの段差
・段差~橋台背面の路面沈下による段差
など
ほかにもありますが、一例を挙げてみました。
橋梁点検ではこのような状態を記録しますよね。
では、このような穴や段差があると何がいけないのか?
それは下記の2つがあります。
①交通障害 ※第三者被害を懸念
②構造物への影響 ※構造安全性の低下を懸念
穴が生じているところを車や人が通過すると、タイヤや足が取られて危険です。
また、段差ある箇所を大型車両が通過すると“ガタン!!”というものすごく大きな音がしますが、これと同時に大きな衝撃も発生します。この衝撃が橋にとって悪影響を及ぼします。
そのため、⑭路面の凹凸ではこの2つの懸念事項をふまえて記録することにしています。
特に伸縮装置やその周囲の凹凸は要注意です。
床版の抜け落ち、土砂化、伸縮装置のフィンガーやウェブの破断等、たくさんの損傷を誘発している可能性があるので、橋梁点検では見逃さないように十分注意してくださいね!
路面の凹凸はただの凹凸や段差を確認しているわけではなく、そこに隠れた真実を見つけるキッカケなのですから。
◆ ポイント その2
青線:橋軸直角方向の凹凸(わだち掘れ)は、「舗装の異常」として扱う。
この一文はH26年度の要領改訂時に追記されました。
“わだち掘れ“は、⑭路面の凹凸では記録できません。橋軸直角方向から見れば凹凸といえますが、⑭路面の凹凸で記録できるのはあくまでも橋軸方向の凹凸です。
先ほどの赤線部分を改めて確認すると、
「衝撃力を増加させる要因となる路面に生じる橋軸方向の凹凸や段差をいう。」
あえて橋軸方向と記載しているのはその理由からなんですね。
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<点検要領の付録-2>
これは説明不要ですね。
20mmを境に損傷区分を“c”と“e”で評価します。
と、いうことは、
20mm未満であれば軽微な損傷。
20mm以上であれば補修すべき損傷??
ではありませんよね💧
たしかに20mm程度であればアスファルト舗装1層分の半分ですし、大した危険性のない損傷のようにおもえてしまいます。
ただ、それは大間違い。
4つのタイヤが付いている自動車であれば交通障害もなく、構造物への影響もないかもしれません。
バイクでは?
歩行者では??
タイヤ幅の狭い自転車では???
視覚障害をもつ歩行者等の場合は????
・・・
近年、ちょっとした凹凸であるにも関わらず、事故に至ってしまうケースが多くみられるようになりました。
特にオートバイに関しては、バイク人口が減ったと言われながらもそれは若い方の話で、退職された方々の乗車人口は増えているそうです。
オートバイは2輪なので、砂粒でもタイヤが滑ってしまいます。また、体力が低下している時に凹凸等でハンドルがとられると態勢を立て直すこともできません。
ここに例を挙げてみます。
道路で工事していると、こういうガードレール見たことありませんか?
道路の一部を補修するときに、工事範囲を防護する設備です。
工事が終われば、
→ガードレールを撤去
→固定していたアンカーを除去
→アンカーの固定箇所をアスファルトで補修
しかし、アスファルトで補修した箇所がはがれ、凹凸ができてしまえば、事故を誘発する可能性があります。
くどいようですが、インフラを利用する方々の安全確保が第一です。
橋梁点検中に路面の凹凸を確認した場合は、多様な第三者の利用状況を踏まえた上で、その対応方法についても報告するといいですよ。
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【今回のまとめ】
・⑭路面の凹凸とは、橋軸方向の凹凸や段差。
・⑭路面の凹凸の評価は、 交通障害と構造物への影響をふまえている。
・路面の凹凸は自動車以外の歩行者やオートバイの立場になって点検する。
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【次回のノート】
次回は⑮舗装の異常です!
今回の⑭路面の凹凸とセットのような損傷ですが、今回はあえて分けて書きました。
なかなか思い入れのある舗装の異常を満を持して来週末書きます。
一回じゃ書ききれないので何回かにわけると思いますが、まずは年内に㉖個の損傷すべて制覇したいので第1弾になると思います!
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