⑲変色・劣化

損傷種類⑲:変色・劣化とは?!-人は常に幸福を求めるが、常に幸福に気づかない。byルソー

ようこそ! Taurus🐂の橋梁点検ノートへ。
このブログが橋梁メンテナンスに携わる皆さまのお力になれたら嬉しいです!
ではさっそく!

※ジャン=ジャック・ルソー:フランスで活躍した思想家。著書『人間不平等起源論』『社会契約論』等。

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目次

【点検要領の解釈:⑲変色・劣化】

変色と劣化って、とても身近ですよね。
だって、形あるものは劣化していくものですから。

例えば、
新しく開通した橋も月日が経てば塗装も色がくすんだりします。
コンクリートだって、できたばかりの時は顔がうつるくらいの輝きがあるんですから。

でも、気付きませんよね。
色や材質の変化は知らない間に発生しているものです。

それだけに、
身近にあるけど気づかない変状です。

身近にあるものって、普段はそのありがたさが分かりにくい存在ですよね。
家族とか、健康とか、仕事とか色々と。

それはさておき、
今回の⑲変色・劣化はこれまでの点検ノートでも取り上げてきている関連性の高い損傷です。それらも関連付けながら、点検で記録するときの注意点等を書いていきたいと思います!

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<点検要領の付録-1>

⑲変色・劣化については、点検要領の付録-1では下図のように解説されています。

出典 橋梁定期点検要領平成31年3月 国土交通省 道路局 国道・技術課


今回の⑲変色・劣化は簡単そうに見えて、

「何を言っているのだろう・・・(゜-゜)」

って感じで間違えやすい損傷なんですね。
付録-1を「赤、青、緑」の3色に分けて説明していきます!

◆解説その1【分類】

⑲変色・劣化に該当する損傷があったら、それを上図にあるように4つに分類して記録します。
これは材料で分類できるので問題ないですね。

まず1つ目の整理項目ですが、

ここでの分類は部材本体の材料・材質によるものであり,被覆材料は対象としていない。部材本体が鋼の場合の被覆材料は「防食機能の劣化」,コンクリートの場合の被覆材料は「補修・補強材の損傷」として扱う。

被覆材と鋼部材も対象外。
コンクリート、プラスチック、ゴム、その他の部材本体の変色や劣化が対象

ということです。

被覆材とは、塗装や巻き立てコンクリート等です。

ということでそれ以外の部材が対象です。
それらの部材はここにも記載されているように、塗装→⑤防食機能の劣化、巻き立てコンクリート→⑩補修・補強材の損傷で記録することになります。

2021.09.11UP「⑩補修・補強材の損傷とは?!」参照

変色といったら塗装のようなものですが、塗装は被覆材であり対象外です。そして被覆材ではありませんが耐候性鋼材も対象外です!

それと、
分類に「その他」がありますが、これは「木」等が該当します。
構造部材で扱われていることはあまりありませんが、景観を重視した観光地などでは木材が使われています。

では次にいきましょう。

◆解説その2【一般的性状・損傷の特徴】

コンクリートの変色など部材本来の色が変化する状態,ゴムの硬化,又はプラスチックの劣化など,部材本来の材質が変化する状態をいう。

部材本来の色や材質が変化する状態を記録するということです。

「部材本来ね。
 被覆材は対象外。
 ここまではわかったぞ。」

たしかにそうなんですが、部材本来の色や材質とはなんでしょうね??
コンクリートやゴムの本来の・・・わかります?
これが今回の一番のポイントではないでしょうか?

ここで付録-2を見てみましょう。
具体的な記載があるので、ようはこのような状態が対象ということになります。

出典 橋梁定期点検要領平成31年3月 国土交通省 道路局 国道・技術課


分類1:コンクリート
区分e:乳白色、黄色っぽく変色している。
分類2:ゴム
区分e:硬化している、又はひびわれが生じている。
分類3:プラスチック
区分e:脆弱化している、又はひびわれが生じている。


なんかわかってきたような気がしますね。
やはり点検要領で具体例が出ているとわかりやすいです。

コンクリートは、通常一般的に灰色とされているので、それ以外の乳白色や黄色。
ゴムは、ゴム支承や排水管の継手等の硬化やひびわれ。
プラスチックは、VP排水管やプルボックス等の脆弱化やひびわれ。

上記のような損傷があれば、⑲変色・劣化で記録していいよってことですよね。
コンクリートの色もプラスチックの脆弱化も損傷とする考え方によって、記録できる範囲が変わってきますので多少、橋梁点検を行う方によって差は生じてしまうかもしれません。

そのため、常日頃、ゴムやプラスチックの正常を感じておく必要があるのかな?と思います。
点検は変状(変な状態)を見極めることが大切です。

◆解説その3【他の損傷との関係】

・鋼部材における塗装やめっきの変色は,対象としない。
・コンクリート部材の表面を伝う水によって発生する汚れやコンクリート析出物の固化,排気ガスや“すす”などによる汚れなど,材料そのものの変色でないものは,対象としない(「⑰その他」として扱う)。
・火災に起因する“すす”の付着による変色は,対象としない(「⑰その他」として扱う)。

めっき仕様の高欄や支承の変色ってありますよね。

でも、めっきは対象外です。
白錆びだとか、経年的な色の変化を⑲変色・劣化で記録してしまっていることがあるのですが、対象外。

次に、「⑰その他」についてです。
コンクリート表面を伝う水によっては発生する汚れや、排気ガスや焚火等によるすす汚れがあれば、「⑲変色・劣化」ではなく、「⑰その他」で記録しましょうってことがここで記載されています。

「⑰その他」については点検要領のほかの損傷種類の章でも取り扱われています。
また、過去の点検ノートでも登場しているので、関連付けながら読み直すと「あ~。そういうことだったのね」と一層理解が深まると思います!
2021.08.28UP 「⑧漏水・遊離石灰とは?!」
2021.10.23UP 「⑰その他とは?!」

2021.08.28UP「⑧漏水・遊離石灰とは?!」参照

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【今回のまとめ】

・鋼部材以外の劣化を記録するときに、⑲変色・劣化として記録する。
・部材本来の変色や劣化が対象であり、表面に付着したすす汚れ等による変色は「⑰その他」で記録する。
・上記のルールを守ったうえで、色相や脆弱状態にこだわり過ぎないようにして記録する。

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【次回のノート】

次回は⑳漏水・滞水です!

水は、橋梁のすべての損傷の源といってもいいくらいの存在です。水そのものは損傷ではありませんが、これをきちんと記録することによって、橋の寿命に大きく関係するので、点検では水を探すことがともて重要と言えます。

⑧漏水・遊離石灰のブログでも⑳漏水・滞水について触れていますので、過去にUPした内容をふまえながら次回は書いてきたいと思います!


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