橋梁点検ブロガー【Taurus|トーラス】です🐂
”二ッチではあるけど面白い橋梁点検”
に役立つ情報をこのブログでは発信しています!
このブログの記事が、
橋梁点検、橋梁補修に携わる ”あなたの力” になれたら嬉しいです。
ではさっそく、いってみましょう!
※様々なご意見があると思いますが、どうぞ温かい気持ちで読んでいただけると助かります。
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目次
【米ペンシルベニアで140mの橋が崩落】
アメリカのペンシルベニア州で、
ことし2022/1/29に約140mの橋が崩落しました💦
負傷者が10人でたものの、死亡者はでなかったのが不幸中の幸いです。
崩落した橋は、1970年に建造され年齢は51歳。
橋梁が老朽化してきたと言われるのも建造50年ですから、やはり50年という数字には注意しなければならないのでしょうか・・・
さて、
今回、橋の崩落事故が起きたアメリカですが、日本よりも早くにメンテナンスの重要性に気づき、予算拡充や点検基準の整備などを行ってきたメンテナンス大国です。
そのメンテナンス大国での崩落のニュースは衝撃的でした。
崩落原因の調査結果については、まだ明らかにされていません。
わたし達のもとにその情報が届くのには、もう少し先になるのでしょうね。
崩落原因については今後の動向を注視するとして、
日経コンストラクションで、
日本でいうところの健全度について記載されていたので、今回はアメリカの評価基準について書いてみたいと思います。
日経コンストラクション
米で140mの道路橋が崩落、点検結果は「Poor」 | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)
有料会員版では、崩落現場の写真を少し見ることができました。こういう時に有料会員になっていてよかったと感じます。払っていることすら忘れてしまうのでちゃんと活用しないといけませんね(^-^;
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【全国橋梁点検基準(National Bridge Inspection Standards :NBIS)】
日経コンストラクションの記事を読みすすめると・・・
”床版と上部構造が、0から9までの10段階で下から4番目の「Poor(欠陥がある)」と判定されていた”
”下部構造は上から4番目の「Satisfactory(満足できる状態)」と判定されている”
(・_・D フムフム
『下から4番目って上から何番目?』
日経コンストラクションのご担当者様すみません。
わたくし数字が苦手でして・・・
下から、上から・・・
分からなかったので、調べてみました(´ー`)
アメリカには、
全国橋梁点検基準(National Bridge Inspection Standards :NBIS)
という点検基準があります。
橋梁を「床版」、「上部構造」、「下部構造」の3つの構成にわけ、以下の10段階で評価しているそうです。
一番上の9番は、<極わめて良好>=もっとも健全、
下にいけばいくほど、橋の機能に支障があり、0番だと<崩落した状態>となります(>_<)
■NBIS:National Bridge Inspection Standards
9 Excellent(極めて良好)
8 Very Good(非常に良好)
7 Good(良好)
6 Satisfactory(満足できる状態) ←下部構造(下から7番目)
5 Fair(可)
4 Poor(欠陥のある状態) ←上部構造、床版(下から5番目)
3 Serious(深刻な状態)
2 Critical(危機的な状態)
1 Imminent Failure(崩壊が差し迫った状態)
0 Failed(崩壊した状態)
ペンシルベニア州で落橋した橋の直近の点検結果は
6番 Satisfactory(満足できる状態):下部構造
4番 Poor(欠陥のある状態) :上部構造、床版
でした。
この評価からでは、点検時に崩落の危険性が指摘されているようには見えません。
『欠陥や損傷は多少あるけど、
落橋が懸念するような緊急を要する補修はない。
補修はするけど、まずは緊急性の高い橋から・・・』
補修は緊急性の高い橋から行っていきますので、この評価であれば後回しです。
0番から3番くらいまでの評価結果であれば、仮に崩落に至ったとしても、納得がいくような気がします。
9 Excellent(極めて良好) 8 Very Good(非常に良好) 7 Good(良好) 6 Satisfactory(満足できる状態) ←下部構造(下から7番目) 5 Fair(可) 4 Poor(欠陥のある状態) ←上部構造、床版(下から5番目) 3 Serious(深刻な状態) 2 Critical(危機的な状態) 1 Imminent Failure(崩壊が差し迫った状態) 0 Failed(崩壊した状態)
ちなみに、
このNBISは1967年のシルバー橋の落橋事故を契機に制定されています。
橋が落ちないように、アメリカの点検基準が上がりました。
事故のあとに・・・( ゚Д゚)
わたしたちの住む日本でも同じようなことがありましたよね?
それは、
2012年の中央自動車道の笹子トンネルで天井板の崩落事故
です。
この事故を契機に、日本でも道路橋のインフラ整備の重要性が再認識され、5年に1回の定期的な橋梁点検および修繕が義務づけられました。
インフラ整備に力を入れ始めた日本ですが、
アメリカは日本に先立ち約50年も前に基準が制定されています。
なおかつ、日本よりも多い2年1回の点検です。
一概に基準が制定されてからの年数や点検の頻度で比べることはできませんが、近代国家の先輩であるアメリカで起きている事象を無視はできません。
なんだか怖いです・・・
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【メンテナンス大国アメリカと追走する日本】
ペンシルベニア州で崩落した橋のような評価した橋は、アメリカ全土にある約62万橋のうち、7.3%にあたる4.5万橋あるそうです。
ほうほう。
なんだか凄そうな数値ですね。
アメリカって広いですからね。橋の数も半端ない…
広いアメリカ。
アメリカの国土ってどのくらいなんでしょう?
983万km2です。
日本は38km2ですから、26倍にもなります!
983万km2の国土に、橋が62万橋あります。
それに対して日本はというと、
38万km2の国土に、橋が72万橋あります。
アメリカ: 932万km2 → 62万
日本 : 38万km2 →72万
『へぇ?』
『72万橋って、アメリカよりも多いの?!( ゚Д゚)』
国土は圧倒的に少ないのに、橋の数はアメリカよりも多いんです。
これが下図のように老朽化がどんどん進んでいくのですから、真っ青になってしまいます💧
上図に関連した記事はこちらに書いています。
ブログ開設した当初に書いた記事です。懐かしいな~(´-`)
Linxxx座談会01:危ない!橋って落ちるの?! | 【Linxxx公式】現場で役立つ橋梁点検ノート
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【さいごに】
今回の記事は先週の告知を変更してUPしました。
告知していました
「健全度case03:支承の健全度Ⅲは、橋も健全度Ⅲ?!」
については、必ず書きますのでしばらくお待ちを(>_<)
今回は、わたしが愛読する日経コンストラクションの記事について心が熱いうちに皆さまと共有したくて予定を変更しました。
日本の見本は諸外国にあります。
わたしは常々、ほかの国ではどのように点検が行われているのか興味がありましたので、個人的に情報収集していました。
今回の件で改めて情報収集し、やはり橋梁点検はとても難易度が高い分野だということを実感しました。
どうにかしたい。
この気持ちを忘れずに今後もこの活動を皆さま(あなた)と一緒に続けていきたいと思います!!
次回はですね、
点検する技術者には必須の「道路橋点検士」について書いてみたいと思います。
次回!!
「超人気!道路橋点検士を取得しよう!!」
また来週~
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この活動で日々思うのは、
インターネットがこれだけ発達しても自分が本当に必要な情報というのは、なかなか探せないものなんだということ。
専門性の高い分野ともなると、難しい言葉で書かれた論文が多くなり、それが自分の知りたい情報だったのかすらわからなくなるときが多々あります。
私は検索するのが下手なので、知りたい情報まで辿り着くことがなかなかできません💧
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