橋梁点検ブロガー【Taurus|トーラス】です🐂
”二ッチではあるけど面白い橋梁点検”
に役立つ情報をこのブログでは発信しています!
このブログの記事が、
橋梁点検、橋梁補修に携わる ”あなたの力” になれたら嬉しいです。
ではさっそく、いってみましょう!
※様々なご意見があると思いますが、どうぞ温かい気持ちで読んでいただけると助かります。
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目次
【なぜ健全性の区分は4つ?】
道路橋毎の健全性の診断を行う際には、
最も厳しい部材の評価を代表させることができる
と点検要領に記載されています。
しかし、
同じ健全度の部材が複数あった場合、どれを最も厳しい部材と評価すればいいのでしょうね?(゜-゜)
甲乙つけがたい・・・
どっちも大事・・・
健全性の診断をするときこんなことがよくありました。
レストランにいってメニューを見ながらのこんな悩みも楽しみの1つですが、診断する時にあれやこれやと迷ってはいられませんから💦
今回のブログはそれについて書いていきたいと思いますが、その前にどうして健全性の区分は4つなんでしょう?
ちょっと少ないと思いません?(^-^;
本題に入る前にまずはそれから整理していきたいと思います。
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【それぞれの評価区分】
橋梁点検での記録の仕方、評価基準、管理方法は1つではないんですよね。
また、
道路橋毎の健全性の診断を行う方法も、1つではないんです。
平成26年に点検が義務化された今もそれはあまり変わりません。
これまで橋の管理方法を各道路管理者にお任せしていたので、道路管理者が違えば評価基準も点検頻度もいろいろ。
その橋を管理する組織、団体で違うんです。
国土交通省、都道府県、市町村、公共企業体、民間高速道路会社、そのそれぞれに橋を管理する方法があります。
数年前までは、
国内で統一されていた点検の基準はありませんでした💧
しかし、平成24年の笹子トンネルの天井板崩落事故が大きな転機になりました。
事故はまずい!!
ということで、
それまで任せきりだった橋の点検を法令化することによって、<平成26年度に点検を義務化>しました。
ただ、
これまで各道路管理者に任せていた点検をいきなり統一的な見解や基準を示すのは難しいことです。
そこで国(法令)が定めた点検の評価方法は、
・橋の健全性をⅠ~Ⅳに区分
・評価する部材の集約
最低限の統一は図ろうとしたわけです。
先日UPしたアメリカに関する評価基準のブログで紹介しましたが、メンテナンス先進国であるアメリカはどうしているか?というと、
アメリカの区分は「10」
です。
そして、
数字が大きくなるほど橋の状態が「良好」となります。
■NBIS:National Bridge Inspection Standards
9 Excellent(極めて良好)
8 Very Good(非常に良好)
7 Good(良好)
6 Satisfactory(満足できる状態)
5 Fair(可)
4 Poor(欠陥のある状態)
3 Serious(深刻な状態)
2 Critical(危機的な状態)
1 Imminent Failure(崩壊が差し迫った状態)
0 Failed(崩壊した状態)
2022.04.2投稿 ※日経コンストラクションで取り上げられていた崩落事故
健全度case03:米ペンシルベニアの崩落橋は想定外?!点検評価は中くらいの「Poor(欠陥がある)」 | 【Linxxx公式】現場で役立つ橋梁点検ノート
それに比べると
日本の「4」つの区分は少ないように見えます。
また、アメリカとは逆で数値が大きくなると悪くなっていきます。
多ければ良いというわけではありませんが、
区分できる数が少ないと、
『この損傷状態は健全度Ⅰ?健全度Ⅱ?どっち?』
『こっちもあっちも健全度Ⅱだけど、どっちを優先して補修すればいいの?』
『健全度Ⅱαとか、健全度2.5とかあればな~』
こんな問題や思いが湧いてきます。
かゆいところに手が届かない・・・
それを回避するために、国の点検要領では判定区分を増やして管理することは制限していません。
適切に維持管理するために必要であれば、あとは道路管理者に裁量の範囲ということになっています。
ちなみに当の国土交通省はというと(゜-゜)
この4つの健全性のほかに、
部材毎に9つの判定区分
で評価しています。
この部材毎に評価する方法は、橋毎の健全性を評価する上でとても大切なので、国の点検要領でもその重要性が記載されています。
推奨しているんですね。
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【簡易化と高度化が混在する評価区分】
法令化により、国は橋の健全度を4つに区分することを義務付けました。
それと、評価する部材と損傷種類を下図のように集約した上で記録することとしました。
例えば、「支承部」とありますが、これには支承本体のほかに落橋防止装置なども含まれています。
評価する数を少なくした方が簡易に点検できると考えたのかもしれませんね。
ただですね。
判定区分を4つから9つに増やたり、
評価部材や損傷種類を集約したりしても、
『この損傷状態は健全度Ⅰ?健全度Ⅱ?どっち?』
『こっちもあっちも健全度Ⅱだけど、どっちを補修すればいいの?』
『健全度Ⅱαとか、健全度2.5とかあればな~』
この問題を完全に解消できません(+_+)
なぜなら、
点検要領では以下のように示しているからです。
下図の赤線と青線を見てください。
赤線:
定期点検を行う者が橋毎に主要な部材を判断することになり、画一的に部材種別を当てはめないことが必要である。
青線:
道路橋の構造、置かれる状況、変状の種類や発生箇所も様々であることから、特定の部材種別や変状種類毎に画一的な判定を行うことはできない。そこで、定期点検の質の確保のためには、定期点検を行う者を適切に選定する必要がある。
これを要約すると、
<損傷や部材の役割などは橋でそれぞれ違うのだから、画一的(機械的)な評価はできないよね。橋を点検する人が主要となる部材を考えてきちんと評価してね。>
まあ、そうなんですけどね💧
そうなんですけど・・・
橋梁という特殊な構造物を点検するだけでも大変です。
土木技術者なら誰でも橋のことがわかるわけではありません。
さらに、
橋梁技術者であれば、「橋の点検ができる」なんてことでもありません。
老朽化した橋をたくさん点検しなければならないのに、なんだか高度過ぎて・・・(>_<)
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【同列1位の健全度なら、どれが代表?!】
さて、
次なる問題はですね。
『同列1位の健全度なら、どれが代表?!( ゚Д゚)』
ほんと、そうですよね。
主桁で健全度Ⅱ、横桁で健全度Ⅱがあったら、どっちを道路橋毎の健全性の診断を行う際の「代表」としますか?
どっちも主要部材ですよね。
これ迷うと思います。
一概に損傷が発生している部材で決めることはできません。
その部材が持つ役割や損傷の規模、進展性の早さなど色々と加味しなければなりません。
かなり難しいですね。
相当レベルの高い橋の知識をもつ技術者であれば、それほど難しいことではないかもしれませんが(・_・;
だいたいの方は
『橋は見たことあるけど、そういう目で橋のこと見たことないから(゜-゜)』
だと思います。
この問題を解決するには、
評価事例をたくさん作る
ことをお勧めしています。
評価事例集をつくるには、専門家に助言を受ける必要がありますが、
評価事例をつくることのメリットとしては、
・評価がブレなくなる。
・評価を早くできる。
・橋の知識が身につく。※評価基準の根拠も重要
そして、
以下のような事例も、ほとんどパターン化されていますので実務で非常に役立ちます。
・主要部材同士で同じ健全度になった場合
・主要な部材同士で同じ健全度になった場合
・主要な部材としたその他部材同士で同じ健全度になった場合
これらの評価事例集をつくり、それを参考に更新し続けながらより高品質、高精度にしていく。
画一的に左から右へと何も考えず評価してはいけませんが、判定区分だけで判断できないのは明らかです。
仮に判定区分を100にふやしてもグレーゾーンは存在してしまいますし、かえって難しくしてしまいますから。
評価事例をかたくなに守るということではありませんので。
安心してください。基準を策定している方々(´ー`)
建前としては、
橋の1つ1つに様々な条件や事情、構造的特徴があるので画一的な評価は絶対してはならないとはなりますが、
本音としては、
そうはいっても専門家じゃないんだから、画一できるところは画一化。それ以外はきちんと専門家にきいて評価します( `ー´)ノ
ある程度画一的に評価できないと早く適切な評価もできないわけですから。
右も左もわからない状態というのは避けた上で、まず大きく失敗しないことが大切です。
点検や老朽化は待ってはくれませんから。
本末転倒とならないように。
まだ少ないですが、
こういった事情からか、アドバイザー契約の動きも少しずつでてきていますよね(´ー`)
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【さいごに】
今回は具体的な健全度事例の紹介まで書けませんでした。
いろいろお伝えしていきたいことがあるので、書き始めながら思いが溢れてしまいます(^-^;
このブログでの情報を1つの参考とし、”あなた” の今後の業務に役立てていただけるのであれば幸いです。
次回!!
「健全度case06:その他部材が橋の安定に大きな影響?!」
また来週~
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■お問い合わせについて■
この活動で日々思うのは、
インターネットがこれだけ発達しても自分が本当に必要な情報というのは、なかなか探せないものなんだということ。
専門性の高い分野ともなると、難しい言葉で書かれた論文が多くなり、それが自分の知りたい情報だったのかすらわからなくなるときが多々あります。
私は検索するのが下手なので、知りたい情報まで辿り着くことがなかなかできません💧
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