橋梁点検ブロガー【Taurus|トーラス】です🐂
”二ッチではあるけど面白い橋梁点検”
に役立つ情報をこのブログでは発信しています!
このブログの記事が、
橋梁点検、橋梁補修に携わる ”あなたの力” になれたら嬉しいです。
ではさっそく、いってみましょう!
※様々なご意見があると思いますが、どうぞ温かい気持ちでご一読くださいませ。
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目次
【基本的な第三者被害予防措置の範囲】
前回のブログでご紹介しきれなかった第三者点検を行う範囲についてを主に今回書いていきたいと思います。
まずは「基本的な第三者点検の範囲」についてです。
橋梁が老朽化すると、
橋梁の機能が低下します。
これまで、
この機能の低下だけが主な問題となってきました。
しかし、
最近では朽ちてきたコンクリートや鉄が突然あたまに落ちてくる・・・
こんなことが現実に起きていて、
第三者への安全性低下が近年問題となってきているのです。
全国区のニュースでもコンクリート塊の落下等について取り上げられるようになってきました。
ニュースにならない、あるいは未然に防ぐことができた事象もあるんでしょうね💧
と、いうことで、
橋梁点検では、
第三者(利用者)の安全を守るために、下記の3点を行っています。
1.第三者被害が発生する範囲を調べる。
2.その範囲に対して特別な点検を行う。
3.落ちる可能性がある劣化した部材を補修する。
上記3点を行う具体的な点検方法は、下記の要領に記載されています。
「橋梁における第三者被害予防措置要領(案)」
この要領のなかで、
第三者に被害を与える可能性がある場所として下記が記載されています。
① 桁下を道路が交差する場合
② 桁下を鉄道が交差する場合
③ 桁下を公園あるいは駐車場として使用している場合
④ 接近して側道又は他の道路が併行する場合
そして、
これらの危険な場所から、さらに危険な範囲を設定します。
・「橋梁の真下」
・「橋梁から俯角75度の範囲」
この危険な範囲を
”第三者被害予防措置”
として、
第三者に被害が発生しないように第三者点検や落下防止対策を行います。
上図は第三者被害予防措置を行う範囲について示しています。
まず、
①立入禁止(フェンス等)がなく、橋の下に第三者が侵入できるのであれば、そこは第三者被害予防措置の範囲です。
つぎに、
②上図のようなフェンスがあれば、落下範囲に第三者は侵入できないので、それ以外が措置範囲。
そして、
③フェンスがあるものの、橋との距離が近いと、破線部のコンクリート片が落ちてくる可能性があるので、ここを措置範囲とします。
少し補足しましたが、ここまでが前回のおさらいとなります。
202.05.07 第三者点検の目的や基本的な点検範囲、健全性の影響について書いています(´ー`)
健全度case07:第三者被害への影響も健全性に関係あるの? | 【Linxxx公式】現場で役立つ橋梁点検ノート
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【まだある第三者被害予防措置の範囲】
ここからが今回の本題です。
これは、
前回ご紹介していない図ですね。
これも第三者被害予防措置の範囲を示す図ですが、基本的な考え方は変わりません。
赤線が示すように、
河川公園があり第三者が立ち入る可能性があればそこも範囲ということです。
その通りですよね。
あと、
斜めの線がたくさんありますが、難しく考える必要はありません。
川の近くに柵がなく、川の近くまで人が近寄ることができるのであれば ”a(高水敷)” に加え、
”護岸ブロック(低水敷)”の範囲も第三者被害予防措置の範囲ってことです。
第三者点検の目的からすればこれも納得です。
人の利用する範囲はすべて第三者点検の対象範囲ということですから。
利用者がいる範囲=第三者被害予防措置範囲です。
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【注意その1:遊歩道以外も対象】
さて、
ここからは第三者被害予防措置を行う範囲の設定で注意すべき事例のご紹介です。
再度でてきましたこの図ですが、
赤線に注意が必要なんです。
”河川内で高水敷が河川公園等で第三者が立ち入る可能性がある場合の措置範囲”
第三者が立ち入る可能性がある場合 というのが大事な部分です。
河川敷には遊歩道が整備されていることがあります。
遊歩道では、
サイクリングやジョギングする人が往来しています。
遊歩道の上の橋が劣化しコンクリート片等が落ちてきたら大ごとです。
きちんと第三者点検をしなければなりませんね(゜-゜)
ところで確認ですが・・・
橋梁の第三者点検の範囲が
” 遊歩道だけ ”
になっていませんか?
これまでのご紹介してきた第三者点検の要領の内容と矛盾しているのがわかりますか?
歩くところは遊歩道だけではありません。
フェンス等で立入禁止でもしない限り、利用者からすれば安全が確保されている場所という認識です。
とは言うものの・・・(゜-゜)
河川敷全体が第三者範囲とせず、遊歩道の上(俯角75度含む)だけを第三者被害予防措置の範囲となっていることがあります。
これでは、
もし、遊歩道以外の範囲からコンクリート片等が落下し、その下に第三者がいたら・・・
怖いですね。
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【注意その2:遊泳場等の水辺も対象】
第三者の要領では、主に河川の例が図示されているのですが、橋は河川のほかにも海の上にも架けられています。
遊泳場等の水辺。
第三者範囲は道路の上、整備された公園や河川敷の上だけではありません。
暑くなると川や海等の水辺には人が集まり、BBQやキャンプをしていると思います。
橋の下で焚火をしたり、日陰で休んだり・・・
たのしい夏の風物詩です(´ー`)
特に柵をしているわけでもないので、自由に人が往来していますよね?
ということは、
第三者が橋の下に立ち入る可能性があれば、その範囲は第三者被害予防措置の対象となります💦
これについては、先ほど示した下記の一文にも記載されています。
”河川内で高水敷が河川公園等で第三者が立ち入る可能性がある場合の措置範囲”
河川公園 ”等” なので、河川公園だけではありません。
そして、
橋の下も道路(遊歩道含む)だけではありません。
海だって川だって対象ですね?
さきほどの遊歩道と同様、利用者の安全を確保しなければなりません。
第三者点検をしないからといって、コンクリート等の劣化を確認できないわけではありませんが、それらの危険性に対してリスク管理をしていたかどうかが道路管理者側が問われます。
また、
第三者点検を行っていても、打音で劣化の程度を確認できる技術者でなければ、形だけの点検となってしまいます。
点検費用も増えることになりますが、真の安全第一が必要だと思います。
小石でも頭に落ちれば、割れてしまいますからね。
もし、自分の家族がそこを毎日通るとしたら放置はできないでしょう。(という気持ちで)
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【さいごに】
道路管理者の維持管理方針がありますが、橋梁の老朽化が進み、第三者の安全確保を踏まえ、より正確に丁寧に点検する必要が出てきました。
点検年には、第三者被害予防範囲の再検討を行うことが第三者の安全確保には有効だと思います。
ただし、
橋全体の健全性にも影響することなので、慎重に範囲の設定を行う必要があります。
第三者が浸入できないように立入禁止範囲を増やす等の措置と合わせて点検方法を検討してみてはいかがでしょうか?
次回!!
「健全度case10:第三者被害予防で健全度Ⅱになる事例」
また来週~
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