健全性の診断事例

健全度case16:積雪寒冷地では当たり前。氷河、極太氷柱は風物詩

橋梁点検ブロガー【Taurus|トーラス】です🐂

”二ッチではあるけど面白い橋梁点検”

に役立つ情報をこのブログでは発信しています!

このブログの記事が、
橋梁点検、橋梁補修に携わる ”あなたの力” になれたら嬉しいです。

ではさっそく、いってみましょう!

※様々なご意見があると思いますが、どうぞ温かい気持ちでご一読くださいませ。

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目次

【漏水が原因と推定されます】


『排水管の継手部の接続不良による漏水で・・・』
『主桁端部の腐食は、伸縮装置からの漏水が原因で・・・』
『床版防水が未施工であり、これによる橋面水の浸入が原因で・・・』


このような損傷原因の説明を何度したことでしょう(゜-゜)


説明する方も、説明を聞く方も、

『また漏水か。
 なんとかしたいんだけどね。
 こう漏水ばっかりだと、どこからどこまで補修していいのか・・・』

と、なります。


「補修する」
「補修しない」は別として、

橋梁点検では最も頻出し、かつ注意しなければならない損傷原因が

漏水

であることに変わりはありません。

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【夏と冬では別次元】

橋梁点検における現場作業は、だいたい春から夏にかけて行っていますよね?

北海道等のような積雪寒冷地だからといって、意味もなく雪が降り路面が凍結している危険な冬季に点検する方はいないでしょう。

ただし・・・

橋梁の維持管理という側面から言えば、冬季に点検した方がよい場合が。

なぜなら、冬季の現場状態を把握することはとても重要なことだからなんです。

夏季には想像できない、驚愕の状態になっていることがあるのですから…


驚愕の状態になっていた事例を1つ紹介します。

例えば伸縮装置から漏水。

雨が降り、伸縮装置の樋に水が排水されます。
樋がつまっていてオーバーフローし、橋座面に滞水する。

この滞水の影響で、支承等の鋼部材が腐食する。
橋台が凍害によりボロボロに剥離する。

わけですが、


この点検状況は夏季ですよね?


では、
冬季に点検をするとどんな状態になっているのか?

漏水量や架橋地域にもよりますが、

分厚い氷が橋台を覆い尽くしていたり、
雪が吹き込み支承が埋もれていたり…

なんてことがあるんですよ( ゚Д゚)💦


到底、夏季だけの点検では想像できないような別次元の姿です。

こういう想定できないことが起こりうるので、冬季の点検は価値があります。

『補修してよかったな。』
『補修しなくても一緒だな。』
『これなら〇〇より、□□の方が費用が安くすんだな。』

冬季での別次元の姿を見れば、良くも悪くもきっとこんな気持ちになることでしょう。

もちろん全てではありませんが。


以前、

自分が施工した落橋防止装置が気になって冬季に見に行ったことがありました。
そこに見えたのは、最大厚さ30cmはある滝のような氷河でした。
そして、まだ数年しかたっていないのに拡幅した橋台縁端拡幅部がスケーリングでボロボロに・・・


こんなことがあってからというもの、夏季に怪しいと感じた橋梁に対しては冬季に現場検証に出かけるようにしていました。

とても勉強になりますが、冬季の現場は危ないので単独行動は絶対にやめてくださいね!

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【別次元を知ってしまうと健全度評価も変わる】

伸縮装置からの漏水。

床版コンクリート下面からの漏水。

横断歩道橋のデッキプレート下面からの漏水。


どれも夏季の点検では、ぽたぽた程度の漏水だったとしても、それが冬季ではどうなっているのか?

健全度評価にも影響するのでしっかりと考えておく必要があります!


なぜなら、
近年ではこの手の第三者被害の報告(ニュース)が多くなってきているからです。

例えば、
共用している道路直上に橋が架かっていて、ぽたぽたと漏水が生じているとしましょう。

夏季ではまったく問題ないでしょう。

しかし、
その漏水の影響でコンクリートの凍害がちょっとでも発生したり、腐食が発生したりしたら?

いずれ、コンクリート片や腐食片がその橋の下を通る車や人に落下するのは想像に難しくありません・・・


『どれを、いつから補修したらいいかわからない。』

こんな質問をうけることがたくさんあります。
補修優先度は機械的な判断やAIではできませんからね。

悩みますよね。

今回のような経験をもとに判断しなければならないのですから。

同じようなぽたぽた程度の漏水でも、その架橋環境等によって措置の優先度を変えていかなければなりません。

そんな時は責任感じて抱え込まずに相談してくださいね。力になりますよ(´ー`)

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【措置と処置の違い】

漏水に限らず、
橋梁点検では「適切な措置を行う」

これに尽きます。


漏水に対して言えば、
健全度評価の大半を悪化させているわけですから、これ(適切な措置)ができれば、橋梁点検はもう終わったようなものです。

それほど構造物に与える<水>の影響が大きいということです。


それなら、

『漏水対策しちゃえば、
 ほとんどの橋が健全になるの?!』

漏水対策って、伸縮装置交換したり、床版防水を施工したりってことですよね?

ちょっと待ってください。

措置って、工事をすることではないんですよね💦


よくある誤解なんですが、

措置=工事 だけではないんです。


『え???
 措置って聞いたら何か工事することじゃ?!( ゚Д゚)』


措置の範囲は広いのです。
点検要領に以下の記載があるように、

・経過観察
・補修、補強工事
・追跡調査
 等々

が含まれているのです。


措置と聞くと、つい工事を行うことだと誤解してしまうんですが、

措置には上記にように色々な手段があるので注意が必要です。

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【さいごに】

積雪が多く、極寒な地域では、橋に極太の氷柱ができることがあります。

床版下面や排水管の継手、横断歩道橋のデッキ、伸縮装置などですね。

あんなのが落下してきたら・・・まずただではすみません。

でも、
いままで落下して怪我をしたとかあまり聞いたことがありません。

それは、横断歩道橋にできた氷柱を地域の建設会社さんが棒でつついて撤去してくれているからなんですね。

横断歩道橋の階段の下に竹の棒などの小道具が置いてあります。

ただ懸念しているのは、
いつまでこの方々の努力で安全が守られるか、ということです。

これまではその方々が私たちの知らないところで氷柱をおとしてくれていました。

しかしこれから加速度的に進む土木業界の高齢化や人材不足の前にして、いつまで耐えられるのかと・・・

そのための予防としても、
今回のブログに書いた冬季の状態をも踏まえた健全度評価が大切になってきているのだと私は思います。

次回!!
「健全度case17:バイクは倒して曲がる。小さな砂や凹凸でも凶器にかわる!!

また来週~

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■お問い合わせについて■

この活動で日々思うのは、

インターネットがこれだけ発達しても自分が本当に必要な情報というのは、なかなか探せないものなんだということ。

専門性の高い分野ともなると、難しい言葉で書かれた論文が多くなり、それが自分の知りたい情報だったのかすらわからなくなるときが多々あります。

私は検索するのが下手なので、知りたい情報まで辿り着くことがなかなかできません💧


橋梁点検で
「こんな損傷があったらどうすれば?」「ほかではどう対応しているの?」「この記事の意味をもう少し知りたい」などがあれば、

どうぞ気軽な気持ちでお声がけくださいね!

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