橋梁点検ブロガー【Taurus|トーラス】です🐂
”二ッチではあるけど面白い橋梁点検”
に役立つ情報をこのブログでは発信しています!
このブログの記事が、
橋梁点検、橋梁補修に携わる ”あなたの力” になれたら嬉しいです。
ではさっそく、いってみましょう!
※様々なご意見があると思いますが、どうぞ温かい気持ちでご一読くださいませ。
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目次
【塗装の機能低下=鋼橋の機能低下】
映画、アニメ、ドラマでの重要なワンシーンに橋が描かれることって結構多いですよね。
わたしの好きな名探偵コナンや刑事ドラマの相棒でも、よく橋が登場していました。
川や海を背景に橋が頭上に架かり、そこで捜査や犯人逮捕。
最近は崖よりも橋のほうが多いような。
さて、
上の写真のような鋼橋ですが、きれいな色で塗装されていますよね。
いつ見ても、
キレイでカッコいい鋼橋(´ー`)
ただ、
いつまでもキレイな状態を保ち、橋としての機能も維持しつづけることは簡単なことではないのです💧
例えば
今回のブログのテーマである「塗装」についてですが、以下の内容を塗装前に決める必要があります。
・塗装の色は?
・塗料の種類は?
・塗り重ねる回数?
・塗装足場は必要か?
・期待する耐用年数は?
・塗装する時期は?防寒養生は必要か?
・架かる場所の環境の厳しさは?山?海?
・新橋なのか?、塗替え塗装(補修)なのか?
・塗装する場所は?内面か?外面か?ボルト部か?溶接部か?
など、
うへー(+_+)って感じです。
いろいろありますね。
これを適切に選定するのは専門家でも至難の業です。
実際、設計報告書をみていると、けっこう間違っていることがあり皆さまの苦労がうかがえます。
さて、この塗装。
塗装した当時はキレイな塗装でも年が経てば劣化します。
風化したり、剥がれたり、光沢がなくなったり等と機能が低下していくのです。
鋼で造られている鋼橋にとって、
塗装の機能低下=鋼橋の機能低下
とも言えます。
そのため、
適切な時期に「塗装の塗替え」を行うことが、鋼橋の長寿命化を考えるうえで最重要となります。
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【予防保全の捉え方】
とある橋での点検結果です。
赤く塗装された鋼橋の点検を行った結果、以下のような状態でした。
・塗り替えてから20年程度経過しており、塗膜の光沢はない。
・破断や孔食はないものの、全体的に点錆や表面錆がある。
・下フランジの角だけは、全長に渡り塗装が剥がれ黒色の錆が見えている。
・5年前の点検と比べて腐食範囲は少しずつ拡大している。
・架橋位置は山間部であり、人目に触れることは少ない場所にある。
軽い気持ちで、どんな状態か想像してみてください(^-^;
この点検結果をみるに、
鋼橋にとって生命線である塗装の機能が低下しているようですね。
であれば、
予防保全段階として、健全度Ⅱと評価しますか?
早期措置段階として、健全度Ⅲと評価しますか?
それとも・・・
さて、
あなたの健全度評価は?
・・・
・・・
・・・
どうですか?
だいたいの評価イメージがわきましたか?
ちなみにですね。
この橋の腐食に対し補修設計の段階では、
健全度Ⅱと評価され塗装の全面塗替えを行うことになっていました。
それに対し、
わたしの評価結果は健全度Ⅰでした。
健全度Ⅱにするには、”まだ早い” かなと。
塗装塗替えを行うには ”まだまだ先” でいいかなと。
たしかに、
塗膜が劣化し、点錆や表面錆程度の腐食が始まっていますから、塗装の塗り替えを補修することに越したことはないでしょう。
ただし、
「いま」でしょうか?
ここが重要です。
これは評価者の、あるいは道路管理者の、
予防保全の捉え方
が影響してきます。
そもそも、予防保全ってなんでしょう?
法令化された予防保全段階の健全度Ⅱとは、どんな状態でしょう?
どこからどこまでを予防保全段階とするのか明確に答えることができますか?
いきなり言われるとドキッとしてしまいますが、とても難しいですよね?
『損傷してから措置を行う事後保全段階の前が予防保全です』
『不具合や損傷等が発生する前に未然に防ぐ方法が予防保全です』
試験や一般的な回答としてはこの回答で十分でしょう。
ただし、
これでは実務を行う上では、不十分なのです。
なぜなら、
Aさんの予防保全は、Bさんの事後保全
でもあるのですから。
どの程度を措置が必要な損傷や不具合とするのか?
人によって予防保全の捉え方(考え方)が違うのです。
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【予防保全の落とし穴】
先ほどの、
予防保全の捉え方が違うということはどういうことなのか?
■車を例に挙げてみます。
前方のバンパーを家の塀にこすってしまいました。
擦り傷ができてしまいました。
コンパウンドで磨けばキレイになるかもしれません。
浅い擦り傷のようです。
こんな擦り傷だったとしたら、”あなた” はどうしますか?
1.あまり目立たないし気にならないから放置。
2.少しでもきれいにしたいからコンパウンドでDIY。
3.プロの業者に依頼し、こすった部分だけを塗替え塗装。
4.ほかに小さな傷もあるし、この際、車体全体を塗替え塗装。
お金が余った仕方ない人でない限り、この程度の擦り傷で4番を選択する人はいないでしょう。
擦り傷で全塗する人ってそういませんよね?
いくらお金があっても足りません(>_<)
しかし・・・
今回のケースは、まさに4番(ほかに小さな傷もあるし、この際、車体全体を塗替え塗装)のようなものでした💧
とある橋での点検結果です。
赤く塗装された鋼橋の点検を行った結果、以下のような状態でした。
・塗り替えてから20年程度経過しており、塗膜の光沢はない。
・破断や孔食はないものの、全体的に点錆や表面錆がある。
・下フランジの角だけは、全長に渡り塗装が剥がれ黒色の錆が見えている。
・5年前の点検と比べて腐食範囲は少しずつ拡大している。
・架橋位置は山間部であり、人目に触れることは少ない場所にある。
もし本当に、擦り傷程度の腐食だったとしたら・・・
今回補修しなくても橋の機能が次回点検までにそれほど低下しないのであれば、”今回は”健全度Ⅰでもよかったのではないでしょうか?
補修要否の必要性は、
次回点検(5年後)までに補修しなければ機能が低下するか、どうか、で判断するのですから。
50年後、100年後であれば、なんでも補修しないといけないくらい劣化しそうですが、5年後であれば話が違いますよね?
あくまで次回点検が基本です。
あと、
予算があるのであれば、2番や3番とする方法も有効でしょう。
さらに、
費用をかけたくないのであれば、業者に発注せず管理者自身で補修する方法もあります。
防錆スプレーで十分、防錆効果が得られる場合もあります。
ただこれらの判断を、
・実際に点検結果を作成するとき、
・報告するとき、
・このような局面に置かれたとき、
自分ひとりの力で下すことができるでしょうか?
それゆえに、
いまやらなくても別に問題ないよね?
っていうことまで多額の費用をかけて、あちらこちらで補修してしまっているのが現状です。
この予防保全の落とし穴に気づかないと、
所管する橋梁の健全性を必要以上に悪く公表してしまったり、厳しい財政難であるのに余計な支出をたくさんしてしまったりと、残念な結果につながってしまうのです。
補修することに越したことはないのかもしれませんが、その前にできること、やるべきことは本当になかったのでしょうか。
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【老朽化した橋梁から解放されたい】
急速に進む橋梁の老朽化に対抗するには、”予防保全” が大切!!
なんてことがよく言われます。
『事後保全から予防保全に転換すれば、お金もかからないし、構造物の長寿命化にもつながるし、いいことづくめ。
いまは少しお金がかかるけど将来のために予防保全しちゃいましょうよ( `ー´)ノ』
なんか詐欺にでも遭いそうな感じですね💧
たしかにそうなんだけど、本当にお金かけていいのでしょうか?
・・・
これは早く補修して老朽化した橋梁から解放されたいという意識をついた甘い罠です。
予防保全と名のついた補修や補強を行えば、建設当時の機能まで回復できる、あるいは建設当時以上の機能が備わると無条件に信じてしまっていませんか?
実際のところ、
補修効果が発揮できている橋梁はそう多くありません・・・
すぐに再劣化するか、さらに傷口を広げてしまっていることがたくさんあります。
特に古い橋梁や相当いたんだあとの橋梁の補修工事では、さらに補修効果が得られにくくなります。
手術(工事)を行うにしても、患者(橋)さんの体力が必要であることを忘れてはいけません。
メンテナンスは難しいですね。
予防保全段階を決めることが維持管理の第一歩です。
予防保全の捉え方が人それぞれによって違うので、点検するたびに「予防保全段階:健全度Ⅱ」が変わってしまっています。
車のタイミングベルトのように ”10万キロに1回交換” なんていう基準は橋にはありませんからね。
各道路管理者が損傷に対する「予防保全段階」の範囲を決めない限り、所管する橋梁の予防保全を行うことは本来できないのですから。
次回!!
「健全度case21:補修と損傷はいつも隣り合わせ[塗装編]」
また来週~
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私は検索するのが下手なので、知りたい情報まで辿り着くことがなかなかできません💧
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