橋梁点検ブロガー【Taurus|トーラス】です🐂
”二ッチではあるけど面白い橋梁点検”
に役立つ情報をこのブログでは発信しています!
このブログの記事が、
橋梁点検、橋梁補修に携わる ”あなたの力” になれたら嬉しいです。
ではさっそく、いってみましょう!
※様々なご意見があると思いますが、どうぞ温かい気持ちでご一読くださいませ。
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目次
【道路メンテナンス年報の構成内容】
この章は前回のブログと同じ内容なので、すでにお読みいただいている方は次の章【年報7ー1:橋梁の現状】からどうぞ! 橋梁点検14:<前編>知ってますよ。道路メンテナンス年報ですよね? | 【Linxxx公式】現場で役立つ橋梁点検ノート
今回の年報はA4で144枚の資料となっています。
ページ数だけ聞くと結構な量に思えてしまいますが、自分と関連の深い範囲(橋梁、道路管理者)で限ると数ページですから。
全体の構成は以下の通りとなっています。
※橋梁関連を赤色で着色
1.道路メンテナンス年報について
2.橋梁・トンネル・道路附属物等の点検結果
3.判定区分Ⅲ、Ⅳの施設の修繕等措置の実施状況
4.予防保全への移行状況
5.舗装の点検結果及び修繕等措置の実施状況
6.小規模附属物・土工構造物の点検結果及び修繕等措置の実施状況
7.橋梁・トンネルの現状
8.地方公共団体におけるメンテナンスに向けた取り組み
※巻末資料
ざっくり説明しますと、
No.1~3については点検結果と措置の実施状況です。
No.4については、地方公共団体のうち、予防保全段階にまだいけない団体の数を示しています。
No.7については、管理者別に集計した橋梁数及び健全度評価状況を円グラフや棒グラフで示しています。
No.8については、直轄診断状況や地方自治体の土木技術者数などの地方の現状や取り組みを示しています。
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【年報7ー1:橋梁の現状】
前回のブログでは、<前編>として下記No.1~4までをご紹介しましたので、今回は<後編>として橋梁に関係の深いNo.7とNo.8ご紹介しきます!
1.道路メンテナンス年報について
2.橋梁・トンネル・道路附属物等の点検結果
3.判定区分Ⅲ、Ⅳの施設の修繕等措置の実施状況
4.予防保全への移行状況
5.舗装の点検結果及び修繕等措置の実施状況
6.小規模附属物・土工構造物の点検結果及び修繕等措置の実施状況
7.橋梁・トンネルの現状
8.地方公共団体におけるメンテナンスに向けた取り組み
※巻末資料
さて、
No.7の「橋梁・トンネルの現状」についてですが、この章では、主に円グラフや棒グラフで全国の橋梁に対する統計情報が掲載されています。
大まかにいうと、以下の内容が掲載されています。
・道路管理者別の橋梁数、橋面積
・建設年度別の橋梁数
・管理者別の橋長分布
・管理者別の点検結果分布
まず、道路管理者別の橋梁数と橋面積について。
下図は管理者別の橋梁数の割合を示したグラフです。
左図を見てください。
グラフ中心に書かれているように、日本全体には約73 万の橋があります。
そして、そののうちの9割が地方公共団体が管理する橋なんです!!
・全国に橋梁は、73万橋
・そのうち地方公共団体が管理する橋梁は、約66万橋(90%)
なんと9 割💦
ななじゅうさんまん橋?!( ゚Д゚)
はい。73万橋です。すごい数でしょ?
...
と、聞いてもさっぱりです。
それが多いのか少ないのか私自身、全くイメージできませんから。
「万(まん)」と言うくらいだし、多いのかな?
イメージしやすい方法はないかと思い、年報の情報をもとに日本の都市を例に3つ(人口順)挙げてみました。
1.横浜市 370万人 約1700橋
2.大阪市 270万人 約800橋
3.名古屋市 230万人 約1300橋
どうですか?
なんとなくイメージできますか?
例えば名古屋市ですが、車社会の街であり、人口の多さ、交通量の多さ、車や高速道路の利用状況、高速道路網が整備されていて、おのずと橋梁の数も多い印象があります。
その街で1300橋ですから、いかに73万橋という数が途方もない数なのかがわかります・・・
73万橋を名古屋市が管理する1300で割ると、561.538461538・・・
名古屋市の約600倍ね(゜-゜)
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【年報7ー2:橋梁の現状】
次に、橋の面積別を示した図です。
先ほどの7-1章の円グラフにあった市町村を例を挙げてみます。
橋梁数では約73万橋のうち、約65%(48万)を占めていましたが、
橋面積ではかなり割合が小さくなり、約21%です。
どういうことかと言うと、
市町村が管理する橋は橋の数は多いけど、ほとんど小さい橋
ということを示しています。
もちろん大きな橋もたくさんありますが、学校前の小さな用水路や田畑等にかかる橋の全てが管理する橋ですから、なんとなくその数の多さがわかります。
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【年報7ー3:橋梁の現状】
土木業界の方であれば、皆さまよくご存じの方が多い図がありますね。
講習会や業界紙等で、ことあるごとにこの図が使用されますから。
お決まりですが一応紹介すると、
・高度経済成長に合わせてインフラも大量に建設されました。
・大きく棒グラフが山のようになっていますが、大体いまから50年前ですよね?
・ここの時代にたくさん建設されたインフラがいま50年経過してきています。
・50年とはインフラでいうところの老朽化していると言える時期。
・きちんと点検なり補修なりしないと、事故が起きるかもしれませんよ。
と、いうことを示す図なのですね。
さらにもう1つ。
市町村を示す赤色の棒を見てください。
1950年から他の道路管理者と比べて、どんどん建設された数が圧倒的に多いと思いませんか?
ここがポイントなんです。
橋の規模は小さいものの、人口増加・街の拡大・道路網の拡大等により、市町村の発展に合わせてどんどん橋が建設されていきました。
みなさんが子どものころ、こんな経験ありまでしたか?
ここにも橋ができた。
あそこにも橋ができた。
ここにもあるけど、すぐ隣にもできた。
活気があるな。便利だな。すごいな。
発展してきたな・・・
その結果としてあるのが、全国73万橋です。
豊かさと同時に大量のインフラが建設されました。
それが、73万橋のほとんどを占める私たちの町のインフラです。
人口が増え、経済の成長を支えてきた私たちが利用してきたインフラが、いま更新や補修の時期にきているのです。
そして、
あまり焦点をあてていけないのかもしれませんが、一応公表されていますからね。
問題ないとして・・・
下の図をみてください。
この図は建設された年度がわからない橋の数を示しています。
いつの間にか建設されていて、その記録が不明ということなのでしょう。
その数なんと。約22.5万橋!!
ちなみに、正確ではないですが、その橋のボルトや塗装、コンクリートの型枠の形、橋の構造をみればおおよその架設年度が推定できます。
以前、日経コンストラクションで、このネタを取り上げていたことがありました。いつだったかな?5年以上前かな?
そこでも探偵役の登場人物が同じことを話しています。
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【年報8:メンテナンスに向けた取り組み】
大量にあるインフラに対する地方公共団体での取組みが掲載されています。
・道路メンテナンス会議
・地域一括発注
・直轄診断-修繕代行
・研修の実施状況
・役所内での土木技術者数
・個別施設計画の策定状況
・事業補助の活用状況
・点検実施者の保有資格等
このような色々な取り組みや現状を図で示しています。
これらも土木業界の方々であれば、よく見聞きするキーワードですね。
取組みについてはいま行っている最中ですので、効果が現れるのはまだ先なのですが、実務者の立場からすると、はやく何とかしてほしい!というところではないしょうか。
ちなみに、
直轄診断・修繕代行ですが、2021年までに16橋が実施されています。
「緊急かつ高度な技術力を要する可能性が高い橋梁」に対し、地方公共団体の要請を受けて、直轄(国交省、研究所)が代行および補助事業を行うものとされています。
たしかにその通りで、年報8(3)P78にある一覧を見ると高度な技術力等が必要な橋梁ばかりです。
では、ほかの橋梁は?(゜-゜)
というと、
ほかにも緊急かつ高度な技術力が必要な橋梁はたくさんあるのです。
本音を言えば全部かわりにやってもらいたい・・・
地方自治体はこの大量に老朽化している橋梁のメンテナンスにどう向き合い、取り組んでいけばよいのか暗闇のなかを道しるべもなく、ひたすら走っているようなものなのです。
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【少し難しいけど役に立つ道路メンテナンス年報】
毎年8頃に公表される年報について2週にわたり、ご紹介しました。
ほかにもご紹介したいところはあったのですが、全部説明されてもこの手の資料は集中力と根気が必要なので、少しずつがちょうどいいので。
あとは、国交省HPにはご自身が済む地域別に整理したデータがあるので、それが意外に面白いのでぜひ覗いて見てください!!
現在、公開されている「全国道路施設点検DB-損傷マップ-」とあわせてみると、更に面白いかもしれませんよ。
次回!!
「橋梁点検16:いまの土木技術者は何を考えている?」
また来週~
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この活動で日々思うのは、
インターネットがこれだけ発達しても自分が本当に必要な情報というのは、なかなか探せないものなんだということ。
専門性の高い分野ともなると、難しい言葉で書かれた論文が多くなり、それが自分の知りたい情報だったのかすらわからなくなるときが多々あります。
私は検索するのが下手なので、知りたい情報まで辿り着くことがなかなかできません💧
知りたい情報はなんなのか?
検索下手なわたしが検索される方の立場で考えてブログを書き続けています。
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「ほかではどう対応しているの?」
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そう考えています。
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