橋梁点検人材育成プロジェクト運営人の 神宮 皐(かみや さつき)です。
このプロジェクトでは、橋梁点検や橋梁診断に特化した ”あなた個人” がもつ疑問の解決や相談できるコミュニティの構築に取り組んでいます。
プロジェクトの一環として、わたしの橋梁点検スキルをブログで公開しています。
あなたのスキル向上に役立てられたら幸いです。
※橋梁点検人材育成プロジェクト【Linxxx(リンクス)】を運営(非営利)しています。 ご質問・ご依頼につきましては、こちらからどうぞ(´-`) Linxxx – 橋梁メンテナンス人材育成プロジェクト│Linxxx(リンクス)
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目次
【関心高まるインフラ運営】
新年が明けたと思ったら、そろそろ新年度。
社内では新年度に向けて色々な動きがでてきますよね。
■メンテナンス事業部への異動がきまった
■今年から橋梁点検業務の受注を本格的に行っていく
■会社の新規事業としてインフラ運営事業の開拓を行っていく
こんな話、身に覚えありませんか?
最近の建設業界の話題として、「インフラ運営」、「ストックビジネス」、「PPP/PFI」等というキーワードがいたるところで出てきます。
わが国は世界と比べて、インフラ運営に関してはまだまだ後発組といえますが、この先世界のあとを辿るのは間違いないでしょう。
そして、
インフラ運営の難しさはあるものの、メンテナンスの必要性や優先度からいって「橋梁」は外せません。
ということで、
第1弾として「そもそも橋梁点検ってなに?」などをこのブログでは書いています。
難しいことは書きませんので、気軽な気持ちで読んでみてくださいね。
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さて本題に。
インフラの老朽化、インフラ運営、ストックビジネス・・・
建設業界ではこれらのキーワードを目にすることが増えてきました。
老朽化問題を取り上げる際には、必ず「橋梁」が注目されますが、これに限らず他のインフラの老朽化も深刻です。
水道管が破裂したとか、トンネル内のコンクリートが落下したとか、道路脇の岩が崩れ道路を塞いだとか、インフラの老朽化問題はわたし達の生活を少しずつではありますが脅かしています。
このような現状から、メンテナンス産業はこれから注目される分野であることは間違いありません。
そのため、
メンテナンスに携わってこなかった建設会社も、それ以外の企業もメンテナンス産業へ参入してきています。
どんな業界も共通していると思っていますが、「建設会社のライバルは、建設会社にあらず」といった現実がそこまできています。
それぞれの強みを活かし、協働して新たな仕組みや製品が開発され、建設業界が盛り上がればそれに越したことはありませんので、わたしはむしろ歓迎です。
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【人材・知識不足はウラハラに】
ただ、
メンテナンス産業への注目度の高まりと同時に、このプロジェクトへのよくある相談は、
『メンテナンス事業部へ配属されて困っています』
です。
企業の経営者の方針により、メンテナンス事業への進出が決定され、新たな部署の創設や異動がけっこうあります。
そのため、
いち個人としては担当することになったけど、
「誰から」、「何から」、「どのように」、学べばよいのか?
さっぱりなことばかり(゜-゜)
いざ進めようとしてもわからないことがたくさんあります。
そして、これについてはネットで探してもこれらの情報はあまりないのが現状です。
これは仕方ないことなのです。
老朽化はこれまでだれも経験していない分野です。
ほとんどの技術者は経験や知識がない中で手さぐりで試行錯誤していますから、教えるほどの情報量は企業も個人も今はないというのが現実でしょう。
このブログ(サイト)では、これらに関する情報提供を行っています。
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【初めての橋梁点検】
わたしも橋梁点検を始めたときは、
『橋梁って点検してたんだ(゜-゜)』
という感じで、完成した橋梁を点検しているなんてことも知りませんでした。
橋を全国各地で架けていた私でさえ知らないんですから、一般の方々は知らなくて当然ですよね。
さて、
入社して間もないころの思い出話を1つだけ。
早朝からベテラン職員の方と本点検前の事前踏査にいったときの話です。
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先輩 :そこの路面に⑮番かいとくれ!
わたし:(はて? ⑮番ってなんだろ。初めて聞いたぞ。ど、どうしたら・・・)
先輩 :悪い悪い。ここの舗装がわれているだろ?そういうときは⑮番なんだ。
わたし:はあ。(で?⑮番だからなんだというのだ?)
先輩 :わかったわかった。俺かくから!
わたし:はあ。(まだわかんない)
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なにもできずに、そのままじっと見守るわたし(゜-゜)
訳も分からず、現場にいくとこんな感じですよね。
わたしも初めはこんなところから始まりました。あの現場のことは忘れられません。
初めての橋梁点検で撃沈した思い出です。
いざ点検しようにも何から始めたらいいのかと試行錯誤の毎日。
途方に暮れてしまいたくなりますよね~
もし、
その当時に、ここ(ブログ)にある情報が少しでもあったら・・・
なんてことを考えながら日々、サイト運営しています。
このブログを読んでくださる皆さまも疑問や悩みがあれば気軽にお声がけください。
ほんとに。
社交辞令ではありませんから。ほんとに。
満足のいく回答はできないかもしれませんが、一緒に考え、なにかのヒントにくらいなれるかもしれません。
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【橋梁点検の「いろは」】
橋梁点検を担当することになったら、まず初めに行うこと・・・
国交省直轄の橋梁点検業務であれば、
「橋梁定期点検要領平成31年3月 国土交通省 道路局 国道・技術課」
を確認すること(※右図)。
直轄以外であれば、「道路橋定期点検要領」です。
ちなみに、この要領で詳しく記載されていない内容は、直轄版をならうことになっています。
この2つの点検要領は、橋梁点検を行う上での「いろは」がすべて書いています。
国交省HPから資料のダウンロードができますし、重要かつよく使用する資料なので、紙に印刷してファイリングしておきましょう!!
橋梁点検に必要となる知識の全容は、下記の資格取得と同時に理解できるのでまずは取得しましょう。
申込みだけでも狭き門!道路橋点検士を取得しよう!! | 【Linxxx公式】現場で役立つ橋梁点検ノート
現場での点検作業自体は、現場に行けば習得できますが、点検記録や評価方法等の知識は点検要領を習得しなければなりません。
橋梁点検では、点検要領に記載されている特有の記録や評価のルールが多々あり、このルールを無視したり、理解不足で点検した後から大変な目にあうことも少なくありません。
ようするに、
”点検要領を制することが橋梁点検を制す”
ことに繋がります。
だいたいのことは現場経験でなんとかなります。
しかし、
それでは対発注者、対住民、対元請とのやり取りで必ず支障が生じますので少しずつ覚えていきましょう。
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【こむずかしい点検要領】
さて、
橋梁点検を進めるうえで、とても重要な点検要領ですが、これが一見こむずかしい内容なのです・・・
ぱっと見、さっぱりです(>_<)
なかでも、
26種類もある損傷種類の解説については、点検要領で「付録-1」と「付録ー2」の2つの付録で解説されているのですが、この解説はところどころ抽象的な解説でとどまっています。
それも理由があるのですが、
この抽象的な解説により読み手の解釈によって誤解が生じてしまうことがあるのです。
今回のブログとは別にそれぞれの損傷種類についての解説はこのサイトで分類して解説していますので、そちらをご覧くださいませ。
下記は一例です▼
損傷種類⑧:漏水・遊離石灰とは?!-雨を感じられる人間もいるし、ただ濡れるだけの奴らもいる。byボブ・マーリー | 【Linxxx公式】現場で役立つ橋梁点検ノート
【新解説】損傷種類⑨:抜け落ち(ぬけおち) | 【Linxxx公式】現場で役立つ橋梁点検ノート
【新解説】損傷種類⑬:遊間の異常(ゆうかんのいじょう) | 【Linxxx公式】現場で役立つ橋梁点検ノート
【新解説】損傷種類⑳:漏水・滞水(ろうすい・たいすい) | 【Linxxx公式】現場で役立つ橋梁点検ノート
申込みだけでも狭き門!道路橋点検士を取得しよう!! | 【Linxxx公式】現場で役立つ橋梁点検ノート
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【そもそも橋梁点検とは?】
”点検” を辞書で調べてみると、
「1つ1つをくわしく調べること。細かく検査すること。」
と記載されています。
橋梁のような大きくて、一見壊れそうには見えない構造物も年月が経てば少しずつ壊れて(劣化)しまいます。
そのため近くまで行って壊れているところがないか1つ1つ詳しく調べる必要があるのです。
そして必要に応じて補修や補強、経過観察も行います。
点検は特別なものではありません。
身近な例でいうと、車の車検や人間の健康診断と一緒です。
車は法律で2年に1度(車検)行う必要がありますが、橋梁はH26年度から法律で5年に1度点検を行うことになっていますよね?
H26年から法律で点検が義務付けられましたが、義務化されるまで一度も点検したことがなかった・・・
なんてことも珍しくはありませんでした。
橋梁以外にもまだ点検したことがないインフラも実はあるのですが、この話はまだ今度。
さて、
安全に、安心して橋梁を利用するためには点検は必要不可欠なことは特に説明しなくてもお分かりいただけることだと思います。
点検して当たり前、安全で当たり前というのが一般の方々の認識ですから。
しかし、実際はそうではないのです・・・
インフラの老朽化による安全神話の崩壊はすでに始まっています。
特に橋梁はその数がとても多く、老朽化といえば「橋梁」というように一種の代名詞的な存在となりつつあります。
橋梁の老朽化は黙っていても訪れるのですが、多くの自治体では橋梁技術者の不足、メンテナンス費用不足が深刻な問題となっており、この問題に対処したくてもできないというのが現状です。
何気なく当たり前のように車等で通過している橋梁ですが、きちんと点検しないと橋が落ちたり、穴が開いたりして、安全ではなくなってきているのです。
そうならないように、橋梁のメンテナンス業界に関わる皆さまが日夜、見守ってくださっているのですが・・・
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【次回は】
今回のブログでは、”橋梁点検の入り口に来た方” 向けに書きました。
欲を言えば、ブログのような文字情報では説明に限界にありますので、対面で色々とお伝えできればいいのですが。
このブログをみて、『すこし話をしてみたい』と思った方はどうぞ下記のお問合せ案内からご連絡くださいませ。
さて次回のブログは、
点検を実際にやってみるにはどうしたらよいのか?
という視点で書いていきます。
以前にも書きましたが、それの補強という感じでしょうか。
お楽しみに~
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■お問い合わせについて■
橋梁点検人材育成プロジェクト【Linxxx(リンクス)】を運営(非営利)しています。ご質問・お問合せにつきましては、下記専用フォーム・TwitterDMからお寄せください(´-`)
CONTACT | 【Linxxx公式】現場で役立つ橋梁点検ノート
橋梁メンテナンス業界は現在、危機的な人材不足、育成不足の問題に直面しています。
これらの問題に業界も力を入れてはいるものの、大局的な施策が多く、個人を育成するような施策には至っておりません。
「こんな損傷があったらどうすれば?」
「ほかではどう対応しているの?」
「この意味をもう少し知りたい」
などの疑問や悩み、これらの解決策に関する情報は業界の盛り上がりをよそに公開されていないのが実情です。
わたしはこの解決策が、
信頼ある仲間とのコミュニティによる個人スキルの向上だと信じています。