橋梁点検ブロガー【Taurus|トーラス】です🐂
”二ッチではあるけど面白い橋梁点検”
に役立つ情報をこのブログでは発信しています!
このブログの記事が、
橋梁点検、橋梁補修に携わる ”あなたの力” になれたら嬉しいです。
ではさっそく、いってみましょう!
※様々なご意見があると思いますが、どうぞ温かい気持ちで読んでいただけると助かります。
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目次
【健全度の評価方法】
点検はチームで行うものなんですが、リーダー(班長)はけっこう孤独でもあります💧
点検をしていると、
「これって重大な損傷なのか?」
「緊急対応が必要なのか?」
主桁に大きな孔があいているのを発見したとき・・・
『やばい、どうしよ(゚Д゚;)』
今回のブログでは、
鋼桁端部に発生した損傷(腐食:孔食)の具体的な健全度評価をしてみたいと思います!
■孔食とは?
鋼部材が局部的に孔状の腐食が発生することを言います。
そして、
その腐食が進行し、ついには孔(あな)があく現象です。
腐食の一部なんですね。
ちなみに橋梁点検では、
<孔食>も、
<境界腐食>も、
<異種金属腐食>も、
すべて①腐食で記録します。
※孔が明くと④破断も追加。
橋梁点検で扱う<腐食>については、2021/6/29UPのブログに掲載しています。 損傷種類①:腐食とは?!ーあいつは変わってる、と言われるのは光栄なこと by志村けん | 【Linxxx公式】現場で役立つ橋梁点検ノート
さてこの孔食。
橋梁点検ではどこに多く発生するのかというと。
鋼桁端部
が断トツでしょうね。
なぜなら、
直上の伸縮装置からの漏水を受けやすく、滞水もしやすい部位だから です。
水が大敵なんです(>_<)
このような部位では、腐食が発生しやすく、その進行も早くなります。
ほかにも、
主桁添接部や箱桁内部の下フランジなどで孔食は多く発生しています。
さらに、
飛来塩分の影響を受けやすい沿岸部、凍結防止の散布量が多い積雪寒冷地では、塩分の影響により腐食の進行は急激に早くなります。
■孔食!ときたら健全度〇?
では、
その孔食が発生してしまった場合、健全度Ⅰ~Ⅳのどれなのか?
孔食 = 健全度…
とはなりません(>_<)
そう単純ではないのです。
なぜなら同じ損傷でも、
その橋を管理している団体の考え方や橋の使用状況(交通量や重量制限の有無)等にもよるので、一概に損傷程度から健全度を決めることはできないのです。
車のメンテもそうですよね?
車の擦り傷があったとします。
そのままにする人もいるし、
コンパウンドで磨く人もいるし、
タッチペンで塗装する人もいます。
など、その対応はさまざまです(゜-゜)
橋梁でも同じことが言え、
メンテナンスの基準はそれぞれあってOK。
ただ、
その橋を長い期間にわたって維持管理するためには、ある程度の統一された評価基準が必要です。
担当者や点検会社が変わるたびに健全度も変わってしまうと管理できませんよね。
そのため、健全度評価を行う前には必ず、
健全度評価の基準を決める
必要があります。
■具体的な健全度評価
健全度評価の基準を決める必要があるとは言え、
『この損傷の健全度は何になるの?(/ω\)』
という悩みを抱える方々が多いと思います。
まず、
評価の基本となるのは下図の点検要領です。
これでは、なんのことやら? なので整理すると📝
孔食について以下の2点を考える必要があります。
1.橋の機能(現時点とその可能性)
2.緊急性
2022.03.19 このブログにも上記2点のことを書いています。今回はその続編です。
健全度case00:橋梁の健全度評価 | 【Linxxx公式】現場で役立つ橋梁点検ノート
さて、
この2点を考えてみましょう。
★橋の機能
鋼桁に孔食が発生した場合、橋の機能にどのような支障が生じるのか?
簡単にいうと、橋(鋼桁)がつぶれます。
橋には色々な荷重が作用しています。
鋼桁端部は上から押し付ける力や揺れに対する動きも加わり、より複雑です。
その鋼桁端部に孔があくと、そこが弱点になり、橋がつぶれたり、変形したりするわけですね。
最終的には橋が切れて、崩落してしまいます。
大変なことですよね💦
この時点で、
予防保全段階である健全度Ⅱから除外され、早期措置段階の健全度Ⅲ以上
を考えていいでしょう。
※予防保全の考え方については、またの機会に( ..)φカキカキ
★緊急性
孔があいたら、すぐ橋が変形していくわけではありません。
孔の大きさや位置、交通量等の条件にもよりますが。
では緊急性をどのように判断するのか?
判断基準は5年です。
なぜなら、
次回定期点検が5年後だからです。
国の評価基準では、健全度のほかに対策区分判定(A、B、C1・C2、E1・E2、M、S)というものがありますが、
この対策区分が5年ごとの定期点検までの補修を踏まえた判定をすることになっています。
なので、発生した損傷に緊急性を踏まえると、
5年待てる = 健全度Ⅲ
5年待てない = 健全度Ⅳ
こんな感じに考えていきながら健全度の評価を行います。
なので、
評価するときは現時点の損傷だけではなく、放置した場合(将来)の損傷状態をイメージしていく必要があります。
難しいですよね(>_<)
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【さいごに】
『このくらいの腐食があったら、健全度Ⅱ』
『この位置に孔があいたら、健全度Ⅲ』
わたしのお勧めは、
各自治体(管理団体)での評価参考例の作成
です。
腐食や破断、漏水などの損傷に対して、代表例でいいので写真と健全度評価の根拠となる所見(説明文)を作成しておくといいです。
これの一番の長所は、評価者のばらつきがなくなること(^^)/
ただでさえ、
健全度評価は難しいのに、ばらつきがあったらそれこそ収拾がつかなくなります💧
なので、
この参考例を道路管理者と協議し作成することをお勧めしています。
橋が架かっている路線の重要性や損傷の規模などを踏まえる必要がありますので、道路管理者だけでも、橋梁技術者だけで、これを作成することはできません。
それぞれの想いをこの参考例に取り入れましょう。
それと、
大きく変更することは避けたい方がいいのですが、毎年見直すことも大切です。
最近では、AI(人工知能)を取り入れる動きが活発化していますが、それでも技術も人も進歩していますので、AIに任せすぎはできませんよね(^-^;
このような参考とできる基準を作成せずに点検を始めてしまうと、その人それぞれの主観で健全度が決まってしまうため、人や会社が変われば、健全度が変わってしまうことになります。
5年前の点検では、健全度Ⅰだったのに、今回は健全度Ⅳなんてことになるのもこれが大きく影響しているのですね・・・
日経クロステックxTECH
無料の範囲でも結構満足できる内容を読めますが、どうしてもその先が(>_<)って何回もなってしまうので、わたしは有料会員に登録しています。でも少しお高めです。記事の内容から(^-^;
大げさな橋の診断が続出、健全度「II」なのに「III」を付ける | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)
次回!!
「健全度case03:支承の健全度Ⅲは、橋も健全度Ⅲ?!」
また来週~
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インターネットがこれだけ発達しても自分が本当に必要な情報というのは、なかなか探せないものなんだということ。
専門性の高い分野ともなると、難しい言葉で書かれた論文が多くなり、それが自分の知りたい情報だったのかすらわからなくなるときが多々あります。
私は検索するのが下手なので、知りたい情報まで辿り着くことがなかなかできません💧
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