橋梁点検ブロガー【Taurus|トーラス】です🐂
”二ッチではあるけど面白い橋梁点検”
に役立つ情報をこのブログでは発信しています!
このブログの記事が、
橋梁点検、橋梁補修に携わる ”あなたの力” になれたら嬉しいです。
ではさっそく、いってみましょう!
※様々なご意見があると思いますが、どうぞ温かい気持ちでご一読くださいませ。
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目次
【その他部材が橋の安定に大きな影響?!】
“その他部材についても、たとえばそれに含まれる周辺地盤の安定が大きく橋の安定に影響を及ぼすこともある”
パッと読んでもよくわからないこの一文ですが、
「その他部材」の損傷も、橋の安定に影響するから気を付けて
ってことを言っています。
これは、
【道路橋定期点検要領】の抜粋ですが、
法令化された橋梁点検を行う際の最低限配慮すべき事項が記載されています。
本要領の位置付け 本要領は、道路法施行規則第4条の5の6の規定に基づいて行う定期点検について、道路管理者が遵守すべき事項や法令を運用するにあたり最低限配慮すべき事項を記したものです。 ※出典 橋梁定期点検要領平成31年2月 国土交通省 道路局
さて、
この「その他部材」ですが、
護岸ブロックやふとんかご、舗装、踏掛版などがあります。
これが損傷すると、橋の周辺地盤の安定に影響するので場合によっては、「主要な部材」として橋の健全性の診断をするときに考慮しましょう、ということでしょうね。
これまでのブログでも
「その他部材」のなかにも「主要な部材」として扱う部材があるということについてご紹介してきました。
主要な部材とは何か?ついて書いています。 先に読んでいただいても、後に読んでいただいてもOKです。 健全度case04:道路橋毎の健全性の診断とは? | 【Linxxx公式】現場で役立つ橋梁点検ノート
今回は、
具体的な「橋の健全性に影響を与えるその他部材の損傷事例」を交えつつ、そもそも「主要部材」と「その他部材」について、改めてご紹介してみたいと思います。
この「その他部材」の評価によって、橋の健全度が全く変わってしまいます。
この取り扱いがとっても重要なんです💦
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【部位・部材とは?】
具体的な話に入る前に、「部位・部材」について。
橋梁はたくさんの部材で構成された構造物です。
あの大きな構造物は、大きなプラモデルのようなもので、たくさんの部材を組み合わせてつくっているのですね。
大きくて重い部材なので、大きなクレーンやトレーラをつかっているだけなんです。
では、
橋梁点検でいう「部材」はというと、
「主桁」、「橋脚」、「支承本体」等を指しています。
もう1つの「部位」はというと、
部材中の特定部位のことで、橋脚の柱部・壁部や梁部、隅角部・接合部等を指しています。
これらの部位・部材を橋梁点検では、大きく2つに分類しています。
それが、
「主要部材」と「その他部材」
です。
少し整理すると、以下のようになります。
・主要部材 : 主桁、橋脚(部位「柱部・壁部、梁部」) など
・その他部材 : 支承本体、伸縮装置、排水管 など
ではなぜ、
このように2つに分類するかというと、橋のきちんと維持管理していくために必要だからなんです。
詳しくはこれから書きますが、これらは橋に与える影響度で分類しています。
点検をする際に頻出のキーワードなので、初めての方は早く慣れておきましょう。
聞けばそれほど難しいことではありませんので。
概要がわかってきたところで具体的に掘り下げていきましょう❗️
「主要部材」って、どんな部材なんでしょうね?
「その他部材」って、どんな部材なんでしょうね?
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【主要部材とは?】
国土交通省の点検要領では下記のように記載されています。
「主要部材」は,損傷を放置しておくと橋の架け替えも必要になると想定される部材を指し,「主桁」,「主桁のゲルバー部」,「横桁」,「縦桁」,「床版」,「主構トラスの上・下弦材,斜材,垂直材,橋門構,格点及び斜材,垂直材のコンクリート埋込部」,「アーチのアーチリブ,補剛桁,吊り材,支柱,橋門構,格点、吊り材等のコンクリート埋め込み部」,「ラーメンの主構(桁・脚)」,「斜張橋の斜材及び塔柱」,「外ケーブル」,「PC定着部」,「橋脚」,「橋台」,「基礎」とする。
上記に書かれているように「主要部材」とは、
損傷を放置しておくと橋の架け替えも必要になると想定される部材
を指しています。
簡単に言うと、
橋の命をも危うくする部材ということです。
橋にとって、とても大事な部材です。
なので、
点検ではこの主要部材を特に注意して確認しています。
ただ、
損傷したからといって、
橋の性能が急激に落ちたり、落下したりすることはありません。
損傷しても補修もせずに、ず~っと放置するとってことです(^-^;
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【その他部材とは?】
つぎに、
「その他部材」とはなにか?
それは、
点検要領の下図で確認できます。
出典 橋梁定期点検要領平成31年3月 国土交通省 道路局 国道・技術課 5.状態の把握
うぁ~
たくさんあって、めまいがしますね(@_@)
上図の<部位・部材区分>の列にちいさく【*】マークがありますよね?
これが「主要部材」です。
それ以外が「その他部材」。
「その他部材」を覚えるよりも、主要部材の数は少ないので主要部材だけ覚えるといいですよ。
さて、この「その他部材」。
「支承」、「伸縮装置」、「排水管」などですが・・・
点検要領の言葉をそのまま受け取ると、この「その他部材」が損傷しても、特に橋の健全度に影響ないようにも思えてしまいます。
しかし?
それは間違いで、
点検要領で書いてあるのは、
橋の架け替えも必要になると想定される部材のことを主要部材と言っているのであって、
その他部材の損傷が橋の健全性に影響しないなんてことは言っていません。
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【健全性に影響するその他部材】
基本的には、橋毎に「主要な部材」をきめて健全性の診断をすることになっています。
点検要領にもそう書いていますよね?
支承ではどうでしょう?
ゴム製なのか?
鋼製なのか?
橋長は長いのか?
短いのか?
1支承線上にいくつあるのか?
さらに、
年代によって少しずつ支承の形や部品も違います。
支承という部材に限った話ではありませんが、
部材にはそれぞれの特性があり、橋に与える影響度がかわってきます。
そのため、
支承をそれぞれの橋で「主要な部材」に該当するのか?を判断する必要があるというのも納得です。
が?
これらの特性を理解し維持管理に反映していくのは、とても難しいことのです・・・
理解までいかなくても、自分に身近な考え方があるといいですよね?
そこで、
今回は支承ではありませんが、
同じ「その他部材」である、
排水管事例を挙げてみますので、こんな損傷なら「その他部材」でも橋の健全性に影響あるんだな、と参考にしてください(´ー`)
■事例.排水管の導水不良
深い渓谷にかかった単径間の大きな橋を想像してください。
その橋は垂れ流し方式の排水管があります。
排水管は錆のなく、当初設計で期待された排水機能を保っています。
健全といえるので、当然、排水管は[健全度Ⅰ]です。
ただ、
橋台近くに設置されているその排水管の流末に目をやると・・・
その排水によって盛土がかなり浸食されているではありませんかっ( ゚Д゚)
盛土がくずれ、橋台基礎に隙間が生じている、あるいはその可能性がある。
この状態を ”排水機能に問題ない” と言えますか?
あなたならどうしますか?
こんなときは、
排水管Dpの”⑰その他(導水不良)”の損傷として記録し、健全度Ⅱをつけるのも有効です。
周囲からの雨水や湧水も考えられますので、
排水以外にも気を付けなければなりませんが、
排水を導水できれば盛土の浸食が抑えらるかもしれません。
この浸食し続ける状態を放置すれば、盛土が消失し橋の安定に大きな影響を及ぼしてしましますよね?
いかがでしょう?
排水管の損傷状態だけをみれば全く問題ないものも、排水されるその先までの安全までを機能とすると全く視点が変わります。
どこまでを排水機能として捉えるか?
点検要領ではこのように損傷だけ、部材だけを凝視せずに、広い考え方をもって橋の健全性を判断しようとしているのではないかな?と思います。
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【さいごに】
健全性の診断を行う際の「主要な部材」の考え方というのは、管轄される地域での考え方がありますので、わたしが発信している内容は1つの参考です。
それでも、
参考例があまり世に出ていないのが現状ですので、少しでも点検業界に携わる ”あなた” のお役に立てたなら幸いです。
次回!!
「健全度case07:第三者被害への影響も健全性に関係あるの?」
また来週~
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