橋梁点検ブロガー【Taurus|トーラス】です🐂
”二ッチではあるけど面白い橋梁点検”
に役立つ情報をこのブログでは発信しています!
このブログの記事が、
橋梁点検、橋梁補修に携わる ”あなたの力” になれたら嬉しいです。
ではさっそく、いってみましょう!
※様々なご意見があると思いますが、どうぞ温かい気持ちでご一読くださいませ。
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目次
【インフラの安全神話】
かつて・・・
コンクリートで建造された構造物は半永久的に使用できるという神話が存在した・・・
なんていうと何かの神話みたいですが、メンテナンスフリーの材料としてコンクリートが夢のような材料として技術者達に認知されていたってことです。
しかし現実は違いました。
コンクリート床版に穴があく、
コンクリート製の天井が落ちてくる、
コンクリート橋のケーブルが切れ崩壊する、
ニュースで報道されている通りです。
しかもこれはコンクリートだけの話ではありません。
建設当時がいくら高品質な構造物でも、
長い年月がたてば少なからず劣化するものです。
毎日の通学、通勤、健康維持のためのジョギング、
川沿いのオシャレなカフェテラスでのデート・・・
平和に思える日常のなかでも、インフラの老朽化による危険は潜んでいます。
頑丈そうにみえるコンクリートや鋼でできた構造物が自分の命を脅かすとは思いたくもありません。
絶対安全・・・
そんなことはあり得えない。
世界中でおきている数々の事故が証拠です。
橋梁の事故も絶えません。
屋外にあるので、気温や風雨、潮風、車の衝突等の外的な要因もあります。
厳しい環境のなかで使用される橋梁をはじめとするインフラ構造物はただでさえ劣化しやすいと言えます。
橋梁点検は、
この安全神話が信じられてきた時代に建造された構造物の老朽化と戦っています。
そこで点検の重要な目的となるのは、
橋梁構造物の機能に加え、
第三者に対する安全を確保すること。
機能の低下はなくとも、安全がおろそかであれば点検の意味がありません。
利用者の利益とは ”安全” なのですから。
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【利用者の安全地帯はあるの?】
危険な場所には近づかない。
これが基本です。
ですが、
老朽化したインフラに危険が潜んでいるとはいえ、現代の生活においてインフラの利用を回避することはできません。
利用者の安全地帯が必要です。
橋梁点検では、
第三者(利用者)の安全を守るために、下記の3点を行っています。
1.第三者被害が発生する範囲(物が落ちる場所)を調べる。
2.その範囲に対して特別な点検を行う。
3.落ちる可能性がある劣化した部材を補修する。
上記の1番はいわば、安全地帯の設定です。
第三者被害が発生する範囲がわかれば、安全地帯が決まります。
そして対策が決まります。
まず危険な範囲に立ち入らない、それができない場所であれば部材が落ちないように対策を行うの2つです。
では、
危険な範囲とはどこか?
まず、
橋梁点検で想定している第三者被害が発生する危険な場所は以下の通りです。
① 桁下を道路が交差する場合
② 桁下を鉄道が交差する場合
③ 桁下を公園あるいは駐車場として使用している場合
④ 接近して側道又は他の道路が併行する場合
これらの危険な場所のうち、さらに危険な範囲を設定します。
・「橋梁の真下」
・「橋梁から俯角75度の範囲」
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■危険な範囲その1:橋梁の”真”下
橋梁の下物体はまず自然落下により、”真”下に落ちる。
これ基本ですね。
例えば、
コンクリート片のようにある程度重さのある物体が下に落ちるとき、ヒラヒラと風にのって舞うなんてことはしないので。
橋の下に道路や鉄道、公園等がなければ通常の定期点検を行います。
その反対に道路等がある場合、劣化して落下する部材がないか特別な点検(通称、第三者点検)を行い確認します。
もし、
小さな損傷でも落下する危険やその可能性があれば応急補修を行うとともに、本格的な補修の対象となります。
■危険な範囲その2:橋梁から”俯角75度”の範囲
次に、
橋梁の真下以外に落ちる範囲について。
上から物体が落下するとき、必ず真下に落ちるとは限りません。
空気抵抗、風の影響、落下途中でなにか当たってはねて予想外のところに落ちる・・・( ゚Д゚)
これらのことを考えて、
点検では真下以外も ”ある条件” をもとに落下する範囲としています。
例えば、
下図のように立入禁止策(フェンス)が施されている場合は、
俯角75度を基準
に落下する範囲を設定し、第三者点検(第三者予防措置)を行っています。
ちなみにこれは一例です。
この破線の部分が第三者点検の範囲
となります。
フェンスと構造物が近ければ、第三者点検の範囲は増えていくことになります。
部材劣化し、少しでも落下の可能性があれば応急措置(叩き落し等)を行うともに、恒久的な措置(ネットや被覆等の落下防止対策)を行うことになります。
同じ剥離やうき等の損傷でも、
この俯角75度の内側に入っているか、入っていなか
で全く対応が変わります。
1つ範囲の設定で注意しなければならないのは、
図面と現地の相違
です。
いざ、
現地にいってみると事前に図面から想定していた道路と橋との位置関係が違っていることがあるんですよね。
つまり、
第三者被害予防措置を行う範囲が変わってしまいます。
最後は現場で確認することが大切ですね(´ー`)
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【さいごに】
構造物の機能に全く影響のない
鋼材片でも、
コンクリート片でも、
柔らかい発泡スチロールのようなものでも、
落下や飛散によって第三者の安全性を脅かす存在であれば、健全度Ⅰから健全度Ⅱ以上になり得ます。
健全度Ⅱ、健全度Ⅲ、健全度Ⅳとするかは管理者側の考え方で変わりますが、
ここで大事なことは
管理しやすく、忘れずに措置できる確実な方法は何か?
です。
この ”忘れずに” っていうのがポイントです。
個々の橋梁をずーっと専任の技術者や会社がメンテナンスできるとは限りません。
人も同じで、
いつもお世話になっていたお医者さんが変わったら焦ってしまうじゃないですか?
あの感じと同じです。
メンテナンスする担当者がかわっても補修する場所、目的、懸念事項・・・これを確実にできる方法として健全度区分を決めることが必要です。
次回!!
「健全度case09:見直し必要?!広がる第三者範囲」
また来週~
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この活動で日々思うのは、
インターネットがこれだけ発達しても自分が本当に必要な情報というのは、なかなか探せないものなんだということ。
専門性の高い分野ともなると、難しい言葉で書かれた論文が多くなり、それが自分の知りたい情報だったのかすらわからなくなるときが多々あります。
私は検索するのが下手なので、知りたい情報まで辿り着くことがなかなかできません💧
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