橋梁点検ブロガー【Taurus|トーラス】です🐂
”二ッチではあるけど面白い橋梁点検”
に役立つ情報をこのブログでは発信しています!
このブログの記事が、
橋梁点検、橋梁補修に携わる ”あなたの力” になれたら嬉しいです。
ではさっそく、いってみましょう!
※様々なご意見があると
思いますが、どうぞ温かい気持ちでご一読くださいませ。
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目次
【薄くて軽い目地板】
今日のテーマは目地板です。
『あの薄くて軽い板状の?(゜-゜)』
そうです。
あの薄くて軽い板のことです。
有名な商品といえば、
・瀝青質目地板 エラスタイト等の〇〇タイト
・ポリエチレン製目地板 スタイロフォーム
などでしょうか?
硬く、軽く、圧縮にも強い。そして加工も簡単。
さらに!
断熱効果もあります。
このほかにも、
コンクリート打設時の足場として使用したり、プレハブの敷物にも使用したりと、使用用途は広いんです。
現場ではかなり重宝します(´ー`)
ちょっと例外な使い方もできるこの目地板ですが、やはり基本的な用途といえば「目地」です。
・橋桁と胸壁の間にいれて埋設伸縮装置として使用
・橋台と翼壁・袖擁壁の間にいれる目地
・橋体と橋体(上下線境界)の間に入れて埋設型枠として使用
・伸縮装置を設置するときの仮受け材
・壁高欄のひび割れ誘発材
などがあり、いろいろな場所で使われます。
材質もごらんの通りです。
・ゴム製
・繊維製
・ポリスチレン製
・ウレタン製
何気なく、目地板といっても色々ありますよね。
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【目地板と点検との関係性】
材質も使用される場所も、用途も色々ある目地板です。
では、
この目地板が橋梁点検とどんな関係があるのでしょうか?
以下の3点に整理してみました。
1.損傷として
2.構造として
3.第三者被害予防の観点として
1.損傷として
目地板は埋設されていることが多いので、損傷している印象は少ないですよね?
どんなふうに損傷してたかな?(^-^;
ですよね。
普段見えないんですもの。
でも、
損傷していないかと言うと、そうではありません。
例えば、
プレテンのI桁やホロースラブのような橋梁形式で埋設伸縮装置として使用される場合です。
・橋桁と胸壁の間にいれて埋設伸縮装置として使用
・橋台と翼壁・袖擁壁の間にいれる目地
・橋体と橋体(上下線境界)の間に入れて埋設型枠として使用
・伸縮装置を設置するときの仮受け材
・壁高欄のひび割れ誘発材
■⑰その他(脱落)
橋桁の移動や収縮によって徐々にずれてきますので、脱落することがあります。
その場合は → ⑰その他(脱落)で記録します。
脱落だからといって、③ゆるみ・脱落ではありませんので注意が必要です。
そんな内容も過去にUPした以下のブログで書いています!
ここでは、定期点検要領での⑰その他の解説を中心に書いています。 損傷種類⑰:その他とは?!ー自由とは責任を意味する。 だから、たいていの人間は自由を恐れる。byバーナード・ショー | 【Linxxx公式】現場で役立つ橋梁点検ノート
■⑲変色・劣化
ほかには、
側面に露出している目地板では紫外線や風雨等によって変色や劣化することがあります。
その場合は → ⑲変色・劣化 で記録します。
これもよくあるのは、
プレテンの中空ホロー桁では埋設伸縮装置として、スタイロフォームを使用することがありますが、ここがシリコン材でコーキングされていないことがあります。
露出しているので、変色や劣化するのは自然ですよね。
ここでは、定期点検要領での⑲変色・劣化の解説を中心に書いています。
損傷種類⑲:変色・劣化とは?!-人は常に幸福を求めるが、常に幸福に気づかない。byルソー | 【Linxxx公式】現場で役立つ橋梁点検ノート
2.構造として
・橋桁と胸壁の間にいれて埋設伸縮装置として使用
・橋台と翼壁・袖擁壁の間にいれる目地
・橋体と橋体(上下線境界)の間に入れて埋設型枠として使用
・伸縮装置を設置するときの仮受け材
・壁高欄のひび割れ誘発材
上記の緑色に着色した2つについてですが、構造的な要素はありません。
上下線境界に挟まっている目地板。
伸縮装置設置のための仮受け材。
これらは橋が完成した時点ですでに目地材の役目は終えています。
橋梁構造(橋としての機能)だけのことを考えるのであれば、これらの目地材がどんな損傷していても補修する必要はありません。
たまに、
目地材を伸縮装置の止水材と勘違いして点検で記録している事例を目にします。
止水材であれば伸縮装置の主な機能の1つである止水機能の低下ですから、補修の必要性は高いでしょう。
でも、
伸縮装置を設置するためだけの仮受け材だったらどうでしょう?
補修する必要はありませんよね。
伸縮装置を設置するときに、その施工順序を見学できれば止水材と目地材の違いがわかるので、機会をみて工事現場に伺ってみるといいですよ。
百聞は一見に如かずです。一度見に行ってみましょう!!
3.第三者被害予防の観点として
構造的に問題なくても、
見栄えにも問題なくても、
落ちてしまうのであれば、
その下の道路状況等に応じて第三者被害予防の観点から健全性の診断を行う必要があります。
健全度を健全Ⅰとするか、予防保全観点から健全度Ⅱとするか。
あるいは、緊急性が高く健全度Ⅳとなるのか?
目地板の落下でも、健全性の診断にここまで影響するというと驚かれる場合もありますが、自分の頭や車に落ちてほしくはありませんよね?
そう考えると別に特別なことではありません。
落ちてほしくないのはみんな一緒なので健全性の診断というよりも補修要否の判断材料ですね。
それを踏まえながら、ここでは緑色の箇所を中心に書いていきます!
・橋桁と胸壁の間にいれて埋設伸縮装置として使用
・橋台と翼壁・袖擁壁の間にいれる目地
・橋体と橋体(上下線境界)の間に入れて埋設型枠として使用
・伸縮装置を設置するときの仮受け材
・壁高欄のひび割れ誘発材
目地板は軽いのでコンクリートのように問題視されることが少ないのですが、けっこう危ないんですよね💦
第三者被害予防の観点から注意しなけばならない事例としては、
上下線境界の間にある埋設型枠
です。
都市部や高速道路に多いのですが、狭い場所に4車線化や歩道拡幅などを行う場合、既設された橋のすぐ横に新しい橋を建造しなくてなりません。
橋桁の架設まで問題にならないのですが、新設する側の床版や壁高欄等を施工する際に単管と化粧板を使っていつもの型枠を組み立てることができないのです。
その際に用いられるのが、この目地板です。
結論をいうと、
数年たつと落下してしまうのです。
ボルトで固定するわけではなく、ただ上下線境界に挟まっているだけなので自然の流れです。
『コンクリートが打ち終わってしまったら撤去すればいいんじゃないの?』
ではないんです(>_<)
施工当初はコンクリートも十分に収縮していないので撤去しようとしてもビクともしません。
問題となるのは、数年たってから。
コンクリートが収縮したり、活荷重によって絶えず上下動した影響で少しずつ目地材が擦れて小さくなってからです。
ひとたび利用者の安全をおぼやかす存在だとわかれば大問題になってしまいます。
老朽化への注目度があがれば、それに応じた考え方も変えていかなければなりません。
道路管理者も、
施工業者も、
設計者も、
点検者も、
これまで問題とならなかった施工方法に対しても、その後の橋の状態を想定し問題になることがないか事前に確認しなければいけない時代になってきたのだと思います。
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【さいごに】
わたしも既設橋のとなりに新しく橋を架設したことがあります。
わたし:この埋設型枠とっておいてね
大工さん:やってみたけど、ほとんどとれないよ?
わたし:え?ほんと? やってみるからバールかして。
・・・
わたし:これ無理だね。
大工さん:バールでほる?
わたし:いや~。地覆キズつけちゃうからもうやめよ。
この当時は自分でつくった橋のことしか考えていませんでした(^-^;
この現場は山奥で、桁下には柵があり第三者は立入禁止となっていたので、おそらく第三者被害が発生していないと思います。
でも、
今となればその当時の現場判断として、”型枠がとれないから”ではなく、”落下しても第三者被害がないから” という根拠で対処できたら・・・よかったなと思います。
新しい橋を架けることも、補修や補強して終わりではなく、維持管理の始まりという意識のうえでインフラに携わっていきたいと思っています。
次回!!
「健全度case16:積雪寒冷地では当たり前。氷河、極太氷柱は風物詩」
また来週~
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インターネットがこれだけ発達しても自分が本当に必要な情報というのは、なかなか探せないものなんだということ。
専門性の高い分野ともなると、難しい言葉で書かれた論文が多くなり、それが自分の知りたい情報だったのかすらわからなくなるときが多々あります。
私は検索するのが下手なので、知りたい情報まで辿り着くことがなかなかできません💧
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