Topics/研究

026:インフラを「つくる」と「守る」は、もともと一つの話だった

こんにちは、神宮皐(かみや さつき)です。
日本のインフラと地方経済を救う、優しくて楽しい革命を一緒に進めている皆さん、いつもありがとうございます。

今日はインフラ行政の設計思想の転換についてお話しします。


インフラ行政の設計思想を変える動きへ≫

なぜ今、インフラ管理の「抜本見直し」なのか

2026年1月30日から、ある委員会のニュースが報じられていました。

社会資本整備審議会と交通政策審議会技術分科会の下に、「インフラマネジメント戦略小委員会」が設置され、その初会合が開かれたのです。委員長を務めるのは、家田仁・政策研究大学院大学特別教授。

この委員会はすでに3回目を終えています。
このブログでは本委員会の情報を踏まえ、インフラ整備と維持で日々悩む皆さまに対して少しでも参考となるような内容をお届けしたいと考えています。

さて、この委員会が立ち上がった直接のきっかけは、2025年に埼玉県八潮市で起きた道路陥没事故です。あの映像を覚えている方も多いのではないでしょうか。突然、道路が崩れ落ちる。ああいう事故が起きるたびに「点検が足りなかった」という話になりますが、問題の根はもっと深いところにあります。

何が変わろうとしているのか

小委員会が目指すのは、構造の転換です。
委員長の家田先生がおっしゃった言葉が、とても刺さりました。

「整備とメンテナンスは本来一体だ」

当たり前のことのように聞こえるかもしれません。でも、日本のインフラ行政はこれまで、道路や橋をつくる「整備」と、つくった後に維持する「メンテナンス」を、予算も組織も別々に管理してきました。片方で建設し、片方で点検する。そのズレが積もりに積もって、老朽化インフラへの対応が後手に回る構造を生んでいたわけです。

この委員会が目指すのは、計画・設計・整備・修繕・改築というライフサイクル全体を一つの流れとして捉え直すこと。点検・調査を繰り返すだけの従来の発想から、根本的に転換しようという試みです。

国は老朽化インフラを「施設ごとの補修問題」ではなく、「人口減少時代の地域経営問題」として扱い始めていると言えます。

3人の委員たちの声が、おもしろい

初会合では、委員からさまざまな意見が出ました。なかでも気になったのが次の三つです。

1.小澤一雅教授は「制度の根本的な見直しが必要だ」と主張しました。現行の制度の枠内でちょっとずつ改善する、という話ではなく、仕組みそのものを変えろという話です。それだけ現場の限界が来ているということでしょう。

2.羽藤英二教授が提唱したのは「ソーシャル・エンタープライズ(社会的企業)を生み出す枠組みづくり」。インフラの維持管理を、行政だけでも大手ゼネコンだけでもなく、地域に根ざした新しい担い手が支えていく・・・そのためのエコシステムを整えようという視点は、私がずっと言いたかったことと重なります。

3.野口貴公美教授が指摘したのは「公物管理法の変革」。法律の側から社会課題に対応する仕組みを変えていく、という話で、制度設計の話としては最も根っこに近い議論だと思います。

議論の中心テーマは、AI・ロボットの活用、技術者不足への対応、財政支援と制度改革、そして民間ノウハウの取り込み。2026年の夏には中間まとめが出る予定です。


私が確信する「官民連携×予防保全」の未来

インフラ行政の設計思想の転換

このニュースを読んで、「やっぱりそうだった」と思いました。

私がこれまでブログで繰り返し書いてきた、予防保全の重要性、官民連携の必要性・・・
それが、国の委員会レベルの議論として正式に動き出したことになります。

たとえば、私が注目している複数年契約モデル。自治体と民間が長期的な関係を結び、成果報酬型の仕組みを組み込む。そうすることで、受注側は安定した仕事を確保でき、発注側はリスクを分散できる。そしてなにより、「今だけ点検すればいい」ではなく「長く使えることがゴール」という意識が生まれます。これが、事故予防につながる。

地方の橋や道路が長持ちして、住む人が安心できる。そういう未来は、制度と現場と技術が三つ揃って初めて実現します。

インフラを「老朽化する構造物=遺産」ではなく、「地域経済が活性化する資産」として再定義する。私の考えと一致する。小委員会の議論は、その第一歩だと考えています。

コンソーシアム形成の拡大

群マネにしろ、複数年契約にしろ、メリットばかりが目につきますが、それ以上の難易度があると考えています。老朽化の問題は相当前から業界が認識していたものの進まなかった理由があります。

統合的インフラマネジメントへの政策転換を踏まえ、橋梁を含む道路インフラ群の再編・更新・包括管理市場に参入すべきだとは思いますが、包括的かつ横断的に管理できる技術者はどれほどいるのでしょうか?

この人材不足、人口減少、ベテラン世代の退職・・・など様々の問題があるこの業界で、良い制度だけでは机上の空論となるのはあきらかです。

また、複数年契約であるため、ある程度体力のある企業が地域企業を主軸にしたコンソーシアムを形成し対応しなければ、契約期間中に事業が破綻するリスクも高くなります。

そのためには、この制度を段階的に確実に進めていき、意識改革から始めていく必要があります。ただ、インフラの老朽化による事故は多くなるばかりなので時間的猶予はもうあまりないのかもしれません。

いま委員会で審議中ですので全く違う結果になるかもしれませんが例えば、これまでの国の動きを踏まえると次の順番で進むことが考えられます。あるいは発展が目覚ましい新たな技術が加味され、同時進行あるいは即時発動の可能性もあります。

1.国交省・都道府県レベルで制度・手引き・モデル事業が整う
2.自治体の包括管理・群マネ案件が増える
3.点検・診断・計画系はコンサル主導で先行する
4.更新・撤去・再編・複数年度工事を含む段階でゼネコンの出番が増える
5.橋梁などの施設単体ではなく、道路インフラ群としてコンソーシアム形成体で対応する大型発注に移行する

北海道に住む私が、特に思うこと

北海道に住む私が、特に思うこと

北海道のような寒冷地では、凍害という問題があります。
凍結誘拐の繰り返しによりコンクリートの内側からひびが入っていく、また凍結防止防止剤の散布によりコンクリートや鉄が塩漬けになっていく・・・このような積雪寒冷地特有の劣化要因があり、全国と同じ点検サイクルでは追いつかない構造物も場合もあります。さらに、北海道のような広大な大地では一部の地域を除いて交通量は本州と比べて少ない地域が多いと言えます。一見、交通量が少なければ道路は傷まないように思えますが、そうとは限りません。長期間にわたって放置され、損傷が私の目に見えるかたちで現れたときには重大な事故となる場合も今後は否定できません。

しかし、発展が目覚ましい新技術(センサーやドローン、AIによる画像診断)の中から自身の地域にあった技術を適切に組み合わせれば、こうした地域特有の問題にも効率よく対応できるはずです。ただし、最終的な決断は人間であることには変わりはありません。その技術をもつ人材の育成に注力しなければなりません。

本委員会の議論が地方・寒冷地の現実にまで踏み込み、メンテナンス特区等の取り組みにも踏み込んでくれることを強く期待しています。

皆さんの地域では、どんな変化が起きていますか?

小委員会の動向は、引き続き追いかけていきます。皆さんの地域で気になるメンテナンスの話題や、現場で感じる課題があれば、ぜひコメントやDMで教えてください。

一緒に、楽しくて優しい革命を進めていきましょう!!

(参考:建設通信新聞2026年2月2日記事、国土交通省公開情報など)

神宮皐
2026年5月
プロジェクト「日本のインフラと地方経済を救う、優しくて楽しい革命@Taurus_Linxxx」より

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