こんにちは、神宮皐(かみや さつき)です。
日本のインフラと地方経済を救う、優しくて楽しい革命を一緒に進めている皆さん、いつもありがとうございます。
今日は「インフラメンテナンスからインフラマネジメントへの転換」についてお話しします。
≪2027年、建設業は「つくる・直す」から「マネジメントする」産業へ≫
~災害リスクと老朽化が重なる時代に、建設業の役割を考える~
目次
はじめに
この記事を書いている2026年9月27日現在、千葉県では9月22日の台風第25号による大きな被害への対応が続くなか、新しい台風がまた発生しています。
9月22日の豪雨により、印旛沼の水位は1968年の管理開始以来最高となる5.04mに達し、北印旛沼では2か所で堤防が決壊しました。道路でも通行止めや道路啓開、代替路の確保が相次ぎ、関東地方整備局は9月23日に「台風第25号に伴う千葉県交通マネジメント検討会」を設置しました。
千葉県では、わずか1か月ほど前にも、気象庁が「令和8年8月千葉豪雨」と命名した記録的な豪雨が発生しています。報道によれば、この1か月あまりで千葉県が大雨の被害を受けたのは、今回で3度目です。
インフラが回復しきる前に、次の災害がやってくる。
こうした状況を前にして、インフラに携わる立場から一つの問いが浮かびます。
私たちは、これから何を「守る」と考えるべきなのでしょうか。
守るべきなのは「構造物」だけなのか
橋を守る。道路を守る。トンネルを守る。堤防を守る。
それぞれ重要です。
しかし今回のような災害を見ると、インフラは一つひとつ独立して存在しているわけではないことが改めて分かります。
堤防が壊れれば、周辺の道路や土地利用に影響が出ます。
道路が寸断されれば、人の移動だけでなく、救助や物資輸送、復旧作業にも影響が及びます。
2025年1月に埼玉県八潮市で起きた道路陥没事故も、下水道管の破損が道路の機能を奪い、地域の生活に長期の影響を及ぼしました。
一つのインフラの機能低下が、別のインフラ、そして地域全体へと波及していくのです。だからこそ、「損傷があるから補修する」という、個々の構造物だけを見た維持管理では足りなくなっていくはずです。必要になるのは、そのインフラが地域の中でどのような機能を担い、機能を失ったときに何が起こるのかまで考えることだと思っています。
そこに「老朽化」が重なる
高度経済成長期以降に整備されてきた大量の社会資本が、これからさらに高齢化していきます。一方で、管理する地方自治体では技術職員が不足し、建設業でも担い手不足が続いています。
インフラは古くなる。
災害への備えも必要になる。
しかし、それを守る人も予算も無限ではない。
そうなれば、「悪くなったものを順番に直す」だけでは対応できません。
どこにリスクがあるのか。
どの施設を優先して補修し、どこを更新するのか。
場合によっては、どこを集約・再編するのか。
災害時には、どのルート、どの機能から回復させるのか。
地域全体を見ながら、限られた人・予算・技術をどう配分するかを判断しなければなりません。私は、ここに「メンテナンスからマネジメントへ」という転換の意味があると考えています。
国の政策も「マネジメント」を意識し始めた
ちょうど今、国土交通省でも「今後のインフラのマネジメントのあり方」について議論が進んでいます。
八潮市の事故を受けた有識者会議の提言を踏まえ、2026年1月にインフラマネジメント戦略小委員会が始まり、9月には中間とりまとめに対するパブリックコメントが実施されました。自治体管理のインフラを含めた実態把握、維持管理の効率化、AI・ロボットの活用、主体間の連携・協働などが議論されています。
注目したいのは、議論が「発注の仕組み」にまで及んでいることです。広域・多分野のインフラをまとめて管理する「地域インフラ群再生戦略マネジメント(群マネ)」を推進する制度や、維持管理の入札・契約制度の検討といった方向性が示されています。
9月にはインフラ分野へのAI実装に関する方針や、建設分野のフィジカルAI戦略も公表されました。2027年度の予算概算要求でも、国土強靱化や危機管理投資が重点に掲げられています。
予防保全。
国土強靱化。
AI・ロボット。
広域化。官民連携。
これまで個別に進められてきた施策が、「インフラマネジメント」という一つの方向につながり始めているように見えます。
建設業の仕事は「完成」で終わるのか
建設業はこれまで、「つくる産業」として社会を支えてきました。この役割がなくなることはありません。しかしこれからは、その前後まで含めた仕事が、より重要になっていくと考えています。
平常時からインフラの状態を把握し、データを蓄積する。劣化や災害リスクを評価し、補修・更新の優先順位を決める。発災時には道路を啓開し、応急復旧を行う。地域機能を回復させ、次の予防保全につなげる。
つくる → 使う → 守る → 備える → 復旧する → 次へつなぐ
建設業の役割は、施工という一つの局面から、このライフサイクル全体のマネジメントへ広がっていく可能性があります。
「災害が増えれば仕事が増える」ではない
ここは、建設業に携わる側として大切にしたいところです。
災害や老朽化対策への投資が増えれば、結果として仕事が増える可能性はあります。しかし、「災害が起きれば建設会社の仕事が増える」という話ではないはずです。
目指すべきなのは、災害が起きてから大きな費用を投じて元に戻すことではありません。
被害そのものを小さくする。
壊れる前に補修する。
災害が起きても重要な社会機能を維持する。
被災しても、できるだけ早く立ち直れるようにする。
これから建設業が社会に提供する価値は、「壊れたものを直すこと」だけではなく、「社会を壊れにくく、立ち直りやすくすること」へ広がっていくはずです。
おわりに
2027年になれば建設業が一気に変わる、というほど単純な話ではありません。政策が示されても、実際の発注や契約の形が変わらなければ、現場は変わりません。
それでも2026年は、災害の頻発、老朽化、担い手不足、新技術の実装、そしてインフラマネジメントを見直す国の議論が、同時に進んだ年でした。
だからこそ2027年の建設業界を見るとき、私は「公共事業費はいくら増えるのか」だけではなく、誰が、どの範囲を、どのくらいの期間を、どのような責任で管理するのか?注目したいと思っています。
群マネの制度化や入札・契約制度の見直しは、まさにこの問いに関わる論点です。ここが変われば、建設業の仕事の形も変わります。
「メンテナンスからマネジメントへ」。
この言葉が政策の中だけで終わるのか、実際の発注や事業として動き始めるのか。2027年は、その行方が見え始める年になると考えています。
次回
第2回|1兆円を超える「予防保全」は、建設業に何をもたらすのか
2027年度の国土交通省予算概算要求を読みながら、「公共事業費が増える」というニュースの裏側で、建設市場がどこへ向かおうとしているのかを考えます。
参考
・国土交通省「令和9年度予算概算要求概要」(2026年8月28日)
・国土交通省「『今後のインフラのマネジメントのあり方について 中間とりまとめ』に対する意見の募集の開始について」(2026年9月3日)
・気象庁「令和8年8月13日からの千葉県の豪雨の名称について」
神宮皐
2026年9月
プロジェクト「日本のインフラと地方経済を救う、優しくて楽しい革命@Taurus_Linxxx」より
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