Topics/研究

028:インフラの所有と利用のギャップを超える — インフラを「みんなのこと」にするために

こんにちは、神宮皐(かみや さつき)です。
日本のインフラと地方経済を救う、優しくて楽しい革命を一緒に進めている皆さん、いつもありがとうございます。

今日はなぜ、なくてはならいインフラが遠い存在なのか?についてお話しします。

インフラの所有と利用のギャップを超える

 ~インフラを「みんなのこと」にするために~

はじめに

道路や橋は、私たちの日常に欠かせない存在です。
通勤や買い物、子どもの送り迎え……ほぼ毎日、どこかで使っています。
しかし、そのインフラを「自分の資産」だと感じる人は、ほとんどいないのではないでしょうか。

一方で、自分の車が壊れれば、すぐに修理を考えます。
家が雨漏りすれば、放置せずに対処します。
それらは「自分のもの」だからです。

ここに、インフラメンテナンスの根本的な難しさがあると思っています。

所有と利用のギャップとは何か

道路や橋は「利用」しているけれど、「所有」はしていない。
この「所有と利用のギャップ」が、インフラを「くらしのこと」として捉えにくくしているのだと思います。

私はこれまで、橋梁メーカー、財団法人、ゼネコンと、立場を変えながらインフラの現場に関わってきました。
その中で、このギャップを何度も感じてきました。
点検や修繕の重要性をどれだけ説明しても、「自分のこと」として受け取ってもらえない場面が少なくありません。

住民にとっても、自治体にとっても、民間事業者にとっても、インフラは「大切なもの」ではある。
けれど、「自分の資産」とまでは捉えきれていないのです。

物語の役割 —インフラナラティブ

では、このギャップをどう乗り越えるか。
一つは、インフラを「物語」として語ることです。

ただの構造物ではなく、そこで暮らす人々の記憶や想いが積み重なったものとして受け止める。
そうすることで、インフラが少しずつ「くらしのこと」「みんなのこと」として感じられるようになるかもしれません。
私はこれを「インフラナラティブ」と呼んでいます。

物語だけでは足りない —具体的な仕組みの可能性

しかし、物語だけでは十分ではありません。
感情や共感は大切ですが、それだけでは行動や継続的な関心にはつながりにくいからです。

そこで必要になるのが、具体的な仕組みです。
たとえば、適切なメンテナンスによってコストを抑え、投資効果を高める。その成果が、ポイントやファンドを通じて個人に還元される……そんな仕組みです。
「この道路を大切にすることが、自分の資産形成にもつながる」と感じられるようになれば、所有と利用のギャップは、かなり縮まるのではないでしょうか。

実際、市民がインフラの情報収集に参加することでポイントを得られる取り組みや、インフラに投資するファンドの動きは、少しずつ広がり始めています。
ただし、道路や橋といった身近なインフラの維持管理にまで、一般の人が「自分の資産」として関われる仕組みは、まだ本格化していません。

官民連携の時代に、この問いを考える

官民連携が今後さらに拡大していく中で、この「所有と利用のギャップ」をどう埋めていくかは、避けて通れないテーマだと感じています。

物語と、具体的なインセンティブ。
この二つをどう組み合わせるかが、これからの鍵になるのではないでしょうか。

おわりに

この問いは、一人で答えを出せるものではありません。
同じ問題意識を持つ企業や投資家、自治体の方々と、じっくり意見を交わすことができたら嬉しく思います。

インフラを、ただ使うものから、くらしの一部として感じられるものへ。
そのための一歩を、一緒に考えていけたらと思っています。

神宮皐
2026年7月
プロジェクト「日本のインフラと地方経済を救う、優しくて楽しい革命@Taurus_Linxxx」より
-------------------

■無料相談へのお申し込みについて■

【日本のインフラと地方経済を救う、優しくて楽しい革命】をモットーに日々、メンテナンス関連の発信・研究、無料相談を行っています。

インフラメンテナンスにたずさわる ”あなた個人”  がもつ疑問や悩みをともに解決できるコミュニティの構築に取り組んでいます。無料で行っている個人活動ですので、ぜひあなたの声を聞かせてください。

無料相談へのお申し込みは、X(@Taurus_Linxxx)のDM、ブログの問い合わせフォーム(https://linxxx.jp/blog/contact/)からお願いいたします。

027:下水道の要対策区間は136kmなのか、748kmなのか?前のページ

ピックアップ記事

  1. 申込みだけでも狭き門!道路橋点検士を取得しよう!!

  2. case05:同じ健全度なら、どっちを優先?!

  3. プライベート・就職・転職を充実させる土木資格5選!!

  4. 20%が落ちる技術士口頭試験・・・

  5. 損傷種類⑤-1:防食機能の劣化(ぼうしょくきのうのれっか)

関連記事

  1. Topics/研究

    021:事前準備も大切な橋梁点検の1つ

    現地での点検作業に入るには、事前準準備が欠かせません。点検に必要な道具…

  2. Topics/研究

    013:診断AIは人材不足の救世主?!

    5年毎に行う橋梁の定期点検は、人間でいうところの定期検診です。k橋梁点…

  3. Topics/研究

    023:定期点検で重要な橋梁点検員と橋梁診断員

    橋梁点検には「点検」以外に「診断」もあることをご存じですか?点検と診断…

  4. Topics/研究

    014:<前編>知ってますよ。道路メンテナンス年報ですよね?

    今年の「道路メンテナンス年報」(以下、年報)でましたね~。8月ですから…

  5. Topics/研究

    019:インフラ運営といえば橋梁点検。ストックビジネスでも橋梁点検。

    橋梁点検をはじめる人向けに以前UPしていた、【橋梁点検の始め方】シリー…

  6. Topics/研究

    011:メンテナンスサイクルってなんですか?

    メンテナンスサイクル。直訳すると「維持管理循環」です。メンテナンスを語…

最近の記事
おすすめ記事
  1. ⑧漏水・遊離石灰

    損傷種類⑧:漏水・遊離石灰(ろうすい・ゆうりせっかい)
  2. OTHER

    Linxxx座談会06:女性技術者たちが自ら切り開く“働きやすい職場”への道
  3. 定期点検

    case06:その他部材が橋の安定に大きな影響?!
  4. 定期点検

    case01:橋梁の健全度評価とは?
  5. 再+劣化事例

    再劣化case10:積雪寒冷地域で起こる支承アンカーボルトの抜け出し
PAGE TOP