こんにちは、神宮皐(かみや さつき)です。
日本のインフラと地方経済を救う、優しくて楽しい革命を一緒に進めている皆さん、いつもありがとうございます。
今日は「下水道管路の全国特別重点調査」についてお話しします。
≪下水道の要対策区間は136kmなのか、748kmなのか?≫
~インフラ維持管理の数字は、見せ方でリスク認識が変わる~
目次
はじめに
下水道管路の老朽化は、普段は目に見えません。しかし、道路陥没や管路破損が起きた瞬間、その影響は生活・交通・経済活動に一気に及びます。
すこし前の記事になりますが、国土交通省が公表した全国特別重点調査(令和8年2月末時点)では、対策が必要な延長は748kmとされています。対象535団体・5,332kmのうち、目視調査5,121kmを実施した結果、緊急度Ⅰが201km、緊急度Ⅱが547kmです。国交省水管理・国土保全局の担当者からは「(要対策の)748キロメートルは重たい数字と受け止めている」とする、とのコメントですから、この数字が今後のインフラ管理において重要な結果となっていくでしょう。
さて、
今回わたしが今回の記事でお話ししたかったのは、この要対策区間と判断された748kmではなく、同じ国交省から報告されているもう1つの要対策区間です・・・
対策が必要とされている2つの数値
同じ国交省から報告されているもう1つの要対策区間
下図は国交省のサイトからダウンロードできる委員会の配布資料をわたしが再整理しなおしたものです。インフラ施設の健全度を整理したこの図を見ていて、私は下水道の数値に違和感を覚えました。
図では「管路施設(腐食のおそれの大きい管路)」の健全度Ⅲ・Ⅳ相当延長を計算すると、要対策区間は約136kmのように見えますが、前述の先日発表された全国特別重点調査748kmとは大きく違うからです。

※社会資本整備審議会・交通政策審議会技術分科会技術部会インフラマネジメント戦略小委員会/・・・フォローアップの結果(概要)
計算式は単純で、3,029km × 4.5% = 約136kmです。 つまり136kmは、フォローアップ図表上の健全度Ⅲ・Ⅳ相当延長に過ぎません。これを「全国の下水道管路全体の要対策区間」とそのまま受け取るのは、かなり注意が必要です。
| 項目 | 数値 |
| 健全度判定総数 | 3,029km |
| 健全度Ⅲ | 4.0% |
| 健全度Ⅳ | 0.5% |
| 健全度Ⅲ・Ⅳ相当 | 約136km |
※136kmはインフラ長寿命化計画フォローアップの図表から読み取れる数値です。 同資料では、下水道の点検完了率を94.5%と示しており、私は図に追加した右端の数量を次のように計算しました。
748kmとは何の数字なのか?
一方、748kmは道路陥没事故を受けて実施された全国特別重点調査で確認された実測値です。 国土交通省発表によると、令和8年2月末時点で対策が必要とされた延長は748km(緊急度Ⅰ:201km、緊急度Ⅱ:547km)。 緊急度Ⅰは原則1年以内の速やかな対策、緊急度Ⅱは応急措置後に5年以内の対策が必要です。
ここで重要なのは、748kmも全国の下水道管路すべてを調査した結果ではない点です。 令和5年度末時点の全国総延長は約50万kmとされています。したがって748kmは、リスクの高い区間を重点的に調査して現時点で顕在化した要対策延長と見るべきです。

なぜ136kmと748kmに差が出るのか?
この差は、単なる調査時期の違いだけでは説明できません。むしろ、調査の目的・対象・判定基準の根本的な違いにあります。
| 観点 | 136km側(フォローアップ) | 748km側(特別重点調査) |
| 資料の性格 | インフラ長寿命化計画フォローアップ | 道路陥没リスクを考慮 |
| 対象 | 腐食のおそれの大きい管路 | 道路陥没リスクの高い重点対象 |
| 判定 | 健全度Ⅲ・Ⅳ | 緊急度Ⅰ・Ⅱ |
| 数字の意味 | 図表上の換算値 | 対策が必要と確認された実測延長 |
| 使い方 | 長寿命化計画の進捗確認 | 道路陥没事故の未然防止 |
調査体系が異なるからといって、748kmを軽く扱うわけにはいきません。 維持管理の実務上、どちらも「放置せず、対応を検討すべき区間」です。
健全度と緊急度はどう整理するべきか?
下水道では従来「緊急度」が用いられてきましたが、インフラ全体の比較では「健全度Ⅰ〜Ⅳ」が増えています。 私は次のように整理するのが分かりやすいと考えます。
- 健全度Ⅲ → 緊急度Ⅱ相当
- 健全度Ⅳ → 緊急度Ⅰ相当
ただし「=」ではなく「相当」と表現することが重要です。判定基準や調査目的が完全に一致しないため、「健全度Ⅲ・Ⅳ相当の要対策区間」と柔らかく表現した方が、誤解を防げます。
136kmだけを示すことの問題
今回の図で気になったのは、下水道の要対策区間が136km程度しかないように見えてしまう点です。 フォローアップ図表としては正しい整理ですが、全国特別重点調査で748kmが確認された今、136kmだけを強調すると、下水道管路のリスクが過小評価される恐れがあります。
問題の本質は「誰かが意図的に少なく見せた」ことではなく、数字の背景を知らない読者が誤った認識をしてしまうことです。 インフラ維持管理において、数字の見せ方はそのまま対策の優先度に直結します。道路陥没のような事故は、一度起きれば社会的影響が甚大です。
今後は748kmを基本に認識すべき
では、
下水道の要対策区間は136kmなのでしょうか?
それとも748kmなのでしょうか?
同じ国交省から発表されている要対策区間ではありますが、どちらが要対策区間として捉えるべきなのでしょうか?
結論からいうと、748kmを要対策区間と認識すべきです。
ただし、後述するように「図の136km」と「記事の748km」は同じ意味の数値ではありませんし、現時点ではのかなり限定的な結果となります。
どちらも対策が必要な区間ではありますが、136kmはこれまでの点検基準で点検された結果であり、748kmはこれとは別の点検点検(全国特別重点調査)から判定された結果、つまり要対策区間なのです。全く違う点検基準で行っているわけですから、結果が違っていて当然です。しかし、このように大きく結果が違うと、管路に対する自身の知識不足が露呈してしまい、混乱してしまいました。
とはいえ、この結果から考えると現時点で判明している要対策区間としては、748kmを基本に認識すべきであるようです。
今後、下水道管路の要対策区間を説明する際は、136kmではなく748kmを基本に置くべきです。 より正確に言えば、 「748kmは、全国特別重点調査により現時点で判明している要対策延長である」 という表現が適切だと思います。
ただし、748kmも全国約50万kmのすべてを網羅したものではありません。実際の要対策区間はさらに大きくなる可能性があります。一方で、特別重点調査はリスクの高い区間を優先しているため、単純に全国全体へ比例させることもできません。
言えることは次の2点です。
- 136kmだけでは、現在の下水道管路リスクを十分に表していない可能性がある
- 748kmは、現時点で顕在化している要対策区間として重く受け止める必要がある

上図に示すNo.13 下水道の136kmは、インフラ長寿命化計画フォローアップにおける健全度Ⅲ・Ⅳ相当延長の換算値です。一方、全国特別重点調査(令和8年2月末時点)では要対策延長748kmが確認されています。両者は調査対象・判定基準・調査時点が異なるため単純比較はできませんが、現時点で顕在化している要対策区間としては748kmを基本に認識する必要があります。
まとめ
下水道管路の要対策区間には、136kmと748kmという2つの数字があります。 136kmはフォローアップ図表上の健全度Ⅲ・Ⅳ相当延長、748kmは特別重点調査で確認された実測の要対策延長です。調査体系も対象も判定基準も異なります。
しかし、維持管理の現場に立つ者として、現時点で判明しているリスクとしては748kmを重く受け止めるべきだと考えます。 インフラ維持管理で大切なのは、数字を小さく見せることではありません。 リスクを正しく把握し、必要な点検・補修・更新につなげることです。
下水道管路は地下にあり、劣化の状況が見えにくいインフラです。 だからこそ、数字の背景を丁寧に読み解き、見えていないリスクにも目を向ける——それが、地方経済を守り、日本のインフラを未来につなぐ第一歩になると、私は信じています。

神宮皐
2026年6月
プロジェクト「日本のインフラと地方経済を救う、優しくて楽しい革命@Taurus_Linxxx」より
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